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パラサイト  作者: ふりまじん
秘密
148/202

140話 覚醒

部屋の中で、私は雅苗をジッと見つめていた。

長い歴史と登場人物に混乱する。


北宮の主要人物だけで4人。

そして、森鴎外とか、有名人が数人…

謎の男、太田なる人物まで登場してきて、なんだか、記憶ゲームでもしている気分になる。


「とにかく、皆、プロバンスに行った…と、言うことですね?」

私は、膨らむキャラクターを記憶のプロバンスに押し込んだ。


今、優先事項はなんだろう?

北宮の歴史を聞くことでは無い気がする。


虫の駆除……

そして、秋吉達を病院へ…

警察や保健所に連絡した方が良い気がする。


正気に戻った…気がした。


「雅苗さん、先ずは、119番に……溶生さん達を病院に連れて行きましょう。」

私は、焦るように立ち上がった。

そんな私を雅苗は悲しそうに微笑んだ。

そして、残酷なくらいキッパリとこう言い放った。

「無理です。」


Σ( ̄□ ̄)!



「じ、じゃあ、温室に…虫を…駆除しに行きましょう。」

私は、おろおろしながら、2番目の優先事項を話す。 が、雅苗は眉を寄せながら首をふる。


「このまま、何もせずに部屋を出たら、餌食になるだけです。」

「餌食……(°∇°;)」

「ハリガネムシに操られたカマキリのように…池にのまれてしまいます。」



ハリガネムシ………。


恐怖が背中を激痛のように走る。

ハリガネムシは、細い糸のような姿の寄生虫である。

類線形動物に属し、昆虫に寄生する。

寄生されたカマキリは、やがて、時が来るとフラフラと水辺に誘われるのだ。

そして、ハリガネムシに操られるままに、水の中へと自ら飛び込んで行くのだ。


ハリガネムシが、繁殖相手を池で見つけられるように。


そして、哀れなカマキリは、川の生物に美味しく食べられて、ハリガネムシの子供達の豊かな寄生の為に、川の生物の栄養源として最後まで貢献するのだ。



ここに来て、池の伝説の恐ろしさが、骨身に染みてきた。


いるのだ…


人を補食する謎の生物が。

既に、私の体にも潜伏しているのかもしれない。


軽いめまいがした。

と、同時に、深い好奇心にもかられる。


「私は、殺虫剤の研究はしてきましたが、虫下しなどの人体に作用する薬は管轄外です。

それでも、お役にたてるのでしょうか?」

激しい動機にさいなまれながら、それでも、意識はシャキッとするのを感じた。

敵が……これから先の展望が、少しだけ見えてきたからだ。


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