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パラサイト  作者: ふりまじん
秘密
132/202

125話7番目の月

北城が打ち込みを始めている横で、私はその金の価値のある1ドル札を見つめていた。


なんで、ノストラダムスの詩を使ったのだろう?


私は怪しげな詩の1節を眺めながらぼんやりと考えていた。


確かに、ノストラダムスの予言は1970年代に流行したが、万博の頃より後だった気がする。


なぜ、1970年のカードにこんなものを挟んだのだろうか?


書かれた文字を見ながら、私はある事に気がついてギョッとした。


7番目の月…


LuneになってるじゃないかっΣ( ̄□ ̄)!


ここで、私は自分の壮大な勘違いに気がついた。


そう、フランス語では、

一ヶ月など、ときをあらわす場合の月は、mois

惑星をあらわす場合はluneだ。


お札にはluneの方で書いてある。

これだと意味が全く変わってくるのだ。


「北城!お前、これ、惑星の月じゃないか。それだと、ノストラダムスの予言は関係ないぞ、この詩の意味はっ、」

私は北城に叫んだ。が、その時には既に、北城はパスワードを打ち込み、エンターを押していた。


「それがどうした?確か、私は読み聞かせたはずだぞ。」

北城は、私をにらんだ。

睨まれて、思い起こす。

確かに、読んでいた。フランス語で読んでくれていたよ………。


「そうだったな、悪かったよ。」

私は不服だったが謝った。

あんな、キザな読み方でペラベラッとボヤかれても、普通の日本人は分からないと、言ったところでしたかない。


「で、何か出てきたのか?」

私は話題を変えたくて聞いてみた。

1970年から、7番目の月…それは、多分、今年の話だと思う。1970年に尊徳先生が貰ったショクダイオオコンニャクの7番目の開花の月……。


「トリノの聖ヨハネ大聖堂の写真だ。」

北城の言葉に、私はゾクリとした。


月が…惑星をあらわすとしたら……聖ヨハネには別の意味がかかってくるからだ。


私は閉じられていた温室のモニターを開いた。


そこには、身の毛もよだつような美しさで、ショクダイオオコンニャクが、咲き誇っていた。


そして、その後ろでは、ガラスの壁が部屋の明かりを反射しながらゆらゆらと揺れていた。


揺れる?


その不自然な動きが気になる。


そして、次の瞬間、それが複数の虫の集まりであることに気がついた。


花の香りに誘われたのだろうか?

さすがにモニター越しではわからなかったが、虫の特定の前に、揺れるガラスの壁に虫で作られた人の顔を見た。


それは、年配の髭を蓄えた男性で、聖骸布を思い起こさせた。


「聖ヨハネの意味がわかったよ……。北城、今日は大潮だ…そして、明日は夏至になる。

聖ヨハネの日は、6月24日だが、これは夏至祭りの意味合いもある。」

私は立ち上がり、外に出掛ける準備を始めた。


そして、長山に電話をする。

大量の虫の発生を知らせなければいけない。

そして、場合によっては駆除をしなくてはいけないだろう。


7年前、雅苗さんはこの光景を見たのだろうか?


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