102話シャーマン2
画像はフェイク……。
再び、睡魔が襲い、そして、右目を冷たい男の指でこじ開けられた。
「うわっ…。」
私はその手を払い、上半身を持ち上げた。
電気がついていて、蛍光灯の独特の霞むような光のなかで、寝ぼけたような間抜け顔で辺りを見回した。
「おはよう。」
と、北城の声がした。
「はあっ(°∇°;)」
私は床に仰向けで寝ている自分と、横にいる北城に驚いた。
また、上手く動けない私を北城は跨いで顔の辺りを見ていた。
「大丈夫そうだな。頭も打ってないようだし。」
北城は私の後頭部を撫ながら言った。
「ああ、ありがとう。どうしたんだ?」
私は北城を見ながら、どいてほしいと顔で伝える。
北城は、それで理解して私からどいて、立ち上がり、私が立つのを助けてくれた。
「それは私の台詞だよ。なぜ、床で倒れていた?
仮眠するなら、ソファーを使え。」
北城は淡々と迷惑そうに言う。
「すまん、突然、睡魔に襲われて…そうしたら、コンニャク…雅苗さんが光ながら現れて…そうだ!USB!!」
私は机に向かう。
北城は少し離れて私が座るのを確認してから近づいてきた。
「コンニャク雅苗…USA…お前、どんな夢を見た?」
北城は真面目な口調で私の後頭部に語りかける。
「違う、USAではなく、USBだよ。」
コンニャクの妖精の話は自分の心の中に埋めた。
そう、今はあの夢の真偽を正さねば。
私は、雅苗の隠し扉から取り出したUSBをパソコンに繋いだ。
そして、例のセミの画像を写し出した。
あっ…(;゜∀゜)
そこで私の手が止まる。
そうだ、私は、それほどパソコンに詳しくはなかった…。
シケイダ3301の謎を解いた人のように、画像の暗号解析なんて、やり方は知らない。
枯れ木に紛れたエダカマキリや、ナナフシを見分けることは得意だが、
パソコンのセミの画像に隠れた暗号なんて、どうすりゃ良いのか分からない。そう、さっきのアレは夢なのだ。私が華麗にパソコンの画像から暗号を取り出すなんて、あるわけがないのだ。
「どうした?」
北城が声をかけてくる。
「うん…。寝ぼけていた見たいた。」
私は、恥ずかしくなりながら夢の話をした。
北城はそれを面白そうに聞いていたが、聞き終わり、少し考えてから椅子ごと私をどかすと、パソコンのキーを叩き始めた。
「北城……。椅子に座れよ。」
私が立ち上がろうとした。
「いや、池上くんは座ってろよ。カナちゃんの暗号なら、そう手間はかからないさ。」
北城は画面を見つめたままそう言った。