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パラサイト  作者: ふりまじん
秘密
101/202

96話探偵復活

下に行って二人に問いただしたかった。

が、一生懸命、MCをしている秋吉の画像を見ていると気持ちがゆらいだ。


何をしたいのか、わけが分からないが、法を犯したわけでもないし、撮影にかかった費用を考えれば、迂闊に邪魔をしに行くのも怖くなる。


一呼吸した。


何にしても、雅苗の謎を解くのが先だと考え直した。


赤いカバーの『砂金』を手にした。


考えてみれば、絶妙なタイミングで倉庫に(いざな)ったのは北城だ。


北城が、企てた何かであれば、この本には私が解かなければならない謎が含まれているはずだ。


多分、ヒントは、素数ゼミ。都市伝説と共に蘇り、故意に挿し絵を張り付けられていた『トミノの地獄』がキーワードになるのだろう。


『トミノの地獄』

この詩は、西条八十と言う詩人が、1919年に自費出版した本に収録された詩である。

彼の作品には、『かなりあ』など、子供に内在する無邪気な残酷さを謡うような作品もあるが、

『東京音頭』

蘇州(そしゅう)夜話』

『青い山脈』

など、幅広いカテゴリーで人気を博した作詞家である。

不気味な詩に傾倒していた訳ではない。


そして、彼は、詩人であり、仏文学者である。

生物学者の類いではないし、その方面で何かをしていたような話は、無さそうだった。


これは、作者ではなく、『トミノの地獄』を目にした雅苗が作り上げた謎を解け…と言うことなのだろう。


ふと、朝方の長山の話がよみがえってきた。


イシスの神殿のスカラベのミイラ……


私にアレを探せと言った、あの言葉は、本当だったのだろうか?


「虫探偵 シンゲン…懐かしいですよね。」


長山の台詞が胸に刺さる。

あの時見せたあの顔に、嘘があるとは思えない。


イシスのスカラベのミイラ…

本当にそれはあるのだろうか?

そして、あったとしたら、どんな虫で作られたのだろう?

やはり、ここはインドから献上されたオオクワガタのメスかもしれない。


そう考えると、胸がワクワクしてきた。

あまり、期待してはいけないが、古代に絶滅した新種…なんて事もありえる。

古代、現代では砂漠と化した北アフリカは、鬱蒼とした森が広がり、ピラミッドの辺りにも緑が溢れていた…なんて聞いた事がある。

インドまで行かなくとも、聖書に書かれた天にも届くレバノン杉…そんな巨大な杉の林が中東で広がっていたのなら、巨大トンボやカミキリムシ、巨大蛾…そんなものが、巨木の下で(うごめ)いていたかもしれない。


なんだか、ワクワクしてくる気持ちを、北城の台詞が消沈させる。


研究所に保管された…


北城はそう言った。


当たり前だろ?貴重な資料なんだから。


と、クールにドヤりながら。


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