「お疲れ〜。夜遅くまで、買い物に付き合わせちゃってごめんね。」
「あ、いえ。大丈夫です。僕も、結構楽しかったですし。」
「えー、ホント? なら、良かった。そんじゃ、また明日ね。」
この人は貝塚高校の先輩、森崎朱音さんだ。僕と同じ、技術部である。
いつも、この人と一緒にどこかに行くと、必ず、荷物を持たせられる。『ごめんね』とか言っているものの、1週間に1回は買い物に付き合わされる。絶対に思ってもいないだろう。
「あ、そうそう。夜美月君、来週の月曜日って空いてる? みんなでどっか行こーって、話になってさ。私と、後3人ぐらい来るから、ね、いいでしょー。」
「来週の月曜日ですか、恐らく、空いてます。」
「良かった〜。んじゃ、今度こそじゃね!」
絶対にまた、荷物持ちとして呼ばれただけでしょう。僕は確信してる。
ふと、スマホを見ると、夜の11時を廻っていた。家を出たのが、朝の10時。先輩と合流したのが、10時30分くらいだった。
ということは、だいたい、12時間くらい付き合わされていたってこと。
「来週は、複数人だから、、、考えただけで、頭がクラクラする。」
そんなことを呟きながら、いつもの帰り道を歩き始めた。
ピロンっ
不意にスマホの通知が来た。辺りはとても静かだったため、周りに響き渡った。
「こんな時間に誰かな?」
それは、見たこともないアドレスからのメールだった。知らない人からのメール。とっても怖い。何かの企業とかではない。
内容もまた、不気味なものだった。
~夜美月心智さんへ~
今から、貴方を素晴らしいパーティーにご招待致します!
早速なのですが、今、迎えの者を3人送りますので、怖がらずに一緒に来てください。貴方が歩いている300m先にある、コンビニで落ち合いましょう。
「うわっ、なんだこれ。なんで僕の居場所が分かってるの?」
確かに、前方にコンビニがある。意味が分からない。
素晴らしいパーティー? そんなものに招待される覚えはないんだが。気味が悪い。
ようし、ここを左折して、遠回りして帰ろう。
ピロンっ
~心智さん~
曲がっても、意味ないですよ。もう、既に、貴方の目の前にいますから。
「へ?」
その瞬間に、見知らぬ男に腕を掴まれた。
この人達が、メールに書いてあった3人か、って、なに冷静に考えているのか。
「やめてください。僕はパーティーなんかに行きませんよ。」
「貴方の意志など、関係ありません。」
「あっ。」
「う、ここはどこ?」
木製の部屋、赤いソファにダイニングテーブル。かなりの絵が飾られている。
「アイタタタ、ここはどこなん?」
「ちょっと、あんた、どこ触ってんの?」
「おい、誤解だ、誤解!」
どうやら、今気づいたが、僕の他にも人が何人かいるようだ。
ブー、ブー、ブー
辺りに警報音が鳴り響く。皆が一気に静まり返った。
「皆さんには、これから、あるゲームをしてもらいます。」