7.セルトラクのガンスミス
祝 ブクマ80件突破
喜びで筆が進むこと進むこと
皆様本当にありがとうございます!!
前回の掲示板.1の重要項目
明日(5/2)午後 初心者向け講習会
明後日(5/3)午前 討伐本隊参加者選考会
明後日(5/3)午後 討伐本隊出発
本隊に参加していなくても補助隊として残党狩りで参加可能
後は7話の中でレクスが教えてくれます
風呂、その他もろもろを済ませて部屋に戻ってきた。
GMOにログインする前に、掲示板でも見ようと思って、個人用携帯デバイスを手に取ったところで気がつく。
正式版では、ゲーム内からネット掲示板へのアクセスも可能になったんだ。
不要となったデバイスを放り出し、早速ヘッドギアを被ってベッドに寝転がる。
今の時間は夜10時、ゲーム内だと…夕方の6時か。さすがに今の初期装備で夜戦は無理があるし、買い物だけ済ませればいいかな。
ログアウトした部屋で目を覚ました僕は、装備を整えながらネット掲示板を開く。しばらくスクロールしていくと、班長の書き込みが目にとまった。
大手クランの"赤龍騎兵隊"と"トップガン"と合同討伐隊を編成するのか…あ、赤龍のクラマスのともぞうさんも書き込んでる。初心者向け講習会までやるのか。大手ってすごいなぁ…
とりあえず僕は明日の講習会は不参加かな。さすがに知らない人に基礎を教えるのは勘弁願いたい。明後日は…午前の討伐隊参加者選考会にだけ、一応顔出しといたほうがいいだろうか…
出かける準備も終わったので、掲示板を閉じて下の階へ降りる。宿の主人に挨拶して外へ出た。
さて、今優先すべきは弾の補充と銃のメンテ。次がポーション類の補充。そして道具類の購入。
スキルを取れば、弾製作と銃整備はどちらも自分で出来るようになる。でもスキルポイントがろくに貯まっていないので、現状自分ではどうにもならない。もし討伐が終わったとしても、トードに拠点を移すかはまだ微妙だし、なるべく良い店を探そう。
宿を出て、目の前の通りをどちらに進むか少し考え、僕は広場と反対方向へ向かうことを選んだ。広場からここまでは一度通って来てるからね。
しばらく歩くと、通りの両側の建物に大きな倉庫が増え始めた。通りには空荷の馬車が並んでいる。
そのまま進んでいくと小さな広場に出た。いや、正確に言うと駅前ロータリーかな。
いかにも田舎町にありそうな平屋の駅舎。その前だけはわずかに人が集まっている。
そんな駅前を横目に、線路沿いへ伸びる道を右方向に進む。今度は完全になんとなくだ。
ちょうど列車の出発時間だったらしい。ホームの横を歩いていると先頭の機関車が汽笛を鳴らした。
小柄な蒸気機関車が、人影もまばらな客車1両と2両の貨車を連ね、駅を出ていく。先ほどの駅前の人だかりは、列車を見にきたプレイヤーたちのようだ。
駅の構内を出た列車は、踏切を渡り外周壁の前で一旦停止する。衛兵が何人か出てきて、列車の周りを警戒しているようだ。運転台に近づいてくのは…カルメンさん!?って、よくよく考えたら衛兵なんだし普通に仕事してるだけか…
カルメンさんが機関車から離れ、短めの汽笛とともに、列車がゆっくりと動き出し外周壁をくぐる。ちょうど、僕が入って来たのとは反対の門のようだ。あれが開拓村へ向かう列車なんだろうな。
列車がいなくなり、町にはまた静けさが戻ってきた。
僕はそのまま線路沿いを歩き、適当な脇道で曲がる。なんとなくこの道が良さそうって感じたんだ。
脇道をしばらく進むと、狭い十字路に出た。左側の路地から一瞬、鉄と火薬?の匂いがした気がする。僕は迷わず路地へ入った。
それからは迷路のような裏路地を、わずかな匂いを頼りに進んだ。
今僕の目の前には、いかにもって感じの銃器店が建っている。看板には"ベルニア銃器店"と消えかけた文字が書いてあった。
β時代はともかく、正式版では間違いなく僕が最初の到達者だろう。
見つけたのはいいけど、入るのはかなり勇気がいるなぁ…絶対店主は頑固爺さんでしょ。ってかこんな裏路地でお客さん来るんだろうか…
迷いはしたけどゲーム内ももう日没が近い。これから新しい店を探すのも難しいだろう。
深呼吸してドアを開けた。
「なんじゃ、見ない顔じゃな。」
僕の顔を見るなり、店主の老人はそう言った。
「えっと…銃の整備と弾を買いたいのですが…」
「あぁん?銃の整備じゃと?」
「はい、この銃なんですが…」
そう言って僕が差し出した銃を、老人はひったくるように受け取り、食い入るように眺め始めた。
「ふむ…帝国の"エンペラー"か…出来が良いから初期の作…そしてこの狙撃眼鏡…お前さんまさか狙撃銃士か…?」
老人が驚いたように僕を見つめる。
僕が頷くと、老人は信じられないというふうに首を振った。
「お前さんのような若いのが狙撃銃士だとは…時代は変わるもんじゃな…わかった、引き受けよう。銃士証明と銃の登録証をよこせ。」
言われた通り証明書と2丁分の登録証を渡す。
「ん…?もう1丁あるのか?ならさっさと出さんか。」
老人にせかされ、リボルバーの方も渡す。
「南西列島の"海賊殺し"か…久しぶりに見たのぅ…」
何その物騒な名前!そんなの初めて聞いたよ!?
「にしても"海賊殺し"はお前さんには扱いにくくないか?」
「あっ、はい。たしかにちょっと使いにくい時があります。ただ威力的にこれが一番いいので…」
「それはわかるがな…どれ、ちょっと構えてみろ。」
安全装置がかかっていることを確認し、いつも通りの構え方をする。
「うむ、構えは悪くないがやはり銃が合っとらんな。整備は急ぐのか?」
「いえ、明日の夜までに終われば…」
「あい、わかった。ならコイツの重心も少し調整してやろう。」
予想外の提案に思わず聞き返してしまった。
「いいんですか!?」
「ワシの扱った銃で死なれちゃ気分が悪い。例えお前さんが蘇生されるとしてもな。」
「わかりました。是非お願いします。」
「うむ。"エンペラー"の方は特段問題無かろう。基本が良く出来た銃じゃ。分解整備だけしておくぞ。」
思ってたよりトントン拍子に進む話に少し面食らう。
そんなに頑固爺って感じじゃないみたいだ。
不意に店の扉が開いた。
「今日は客が多い日じゃな…」
老人が扉の方を見ながら呟いた。
お客さんが来ないのではという僕の予想は正解だったようだ。
「珍しいな、私以外の客がいるとは。」
妙に聞き覚えのある声に振り返ると、そこには衛兵隊の服を着た爽やかイケメンが立っていた。
書き終わって気づいたけど女性キャラ少な過ぎね?
(そう思うなら早く出せという話である)
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