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4.最初の狩りと町への到着

 

 チュートリアルが終わり、僕は人の気配がまったくない原野に放り出された。

 とりあえずクイーンに渡された地図をもう一度取り出す。軽く魔力を込めると、今度は地図上に青い丸が現れた。これが現在地だ。

 町まではそれほど遠くない。しかしこのあたりには街道は通っていないみたいだ。


 一番近いのは…大陸縦断鉄道の線路かな。途中まで町への最短ルートを通って、線路にでたらそのまま線路沿いを進もう。途中に小川があるようだし橋に行かないと。


 方針が決まったので、僕は町に向け歩き始めた。



 歩き始めて10分。草原と線路を隔てる木立が見えてきた。まぁ見えたってだけでまだちょっと距離あるんだけど。

 というか地面が思ったより歩きにくい。絡まりあった草とその下に隠れた石。所々に現れる湿地と化した水溜まり。βの時は森の中でももう少し歩きやすかった気がする。こんな足場で戦闘になったらみんな生き残れないんじゃないか?


 時々足を取られながらも、なんとか湿地に顔面ダイブすることなく草原の終わりにたどり着いた。思ったより時間かかったなぁ。


 ところでさっきから草の向こうに何かの気配を感じる。

 最初はほぼ味のしない肉で有名な低レベルモンスター、プレーン・ホワイトラビットかと思ったけど、どうも違うようだ。

 とりあえず自分に初級隠蔽魔法をかける。これで草とこすれる音が風の音のように聞こえやすくなるはずだ。


 ゆっくりと腰を落とし、肩にかけた銃を下ろす。

 スコープ越しに覗いてみると、草の影にいるのはプレーンの上位種、リッチ・ブラウンラビットのようだ。β時代、プレーンと違って肉の味が良く、毛皮も売れると序盤には有難いモンスターだった。


 ウサギはまだ僕の存在に気づいていないらしい。何かを探しているのか草むらの中をゴソゴソしている。


 無警戒のウサギの喉元に狙いをつける。喉元の小さな膨らみがウサギ系モンスター共通の核だ。

 いくら隠蔽魔法をかけても撃てば1発で僕の存在はばれる。慎重に狙いを定め、僕は撃った。



 ウサギが光りの欠片になって消滅した後、視界の端に獲得アイテムの表示が出た。

 アイテムストレージを確認すると、「リッチ・ブラウンラビットの肉」「リッチ・ブラウンラビットの毛皮(上質)」が入っていた。売るか装備の素材にするか考えながら先に進む。



 木立の間を抜けながら鳥形モンスターを2羽仕留めた後、ようやく線路に出た。

 でもなにかがおかしい。

 この線路は山を越えて隣町のトードへ続いているはずだ。β時代のトードは、この地方だとそこそこ大きな都市で通商路の要所になっていた。

 そんなトードへ続く重要な線路のはずなのに、今僕の目の前に続く線路は赤錆びて雑草が茂っている。


 もう一度地図を見てみた。やっぱりトードの場所も変わってないし、この線路は運行中と書いてある。


「どういうことだろう?」


 しかしここで考えていても答えは出ない。ここからいきなりトードまで歩くのは無理だし、当初の予定通りセルトラクの町へ向かうことにした。


 線路沿いの獣道を歩きながら見かけたプレーン・ホワイトラビットを3羽ほど仕留めた頃、線路の先に町のゲートが見えてきた。

 列車用の扉は閉まっているが、人が通るための扉は開いているようだ。


 小川に架かる橋を渡り、ゲートに到着する。

 2階建ての家くらいの高さがある町の外周壁を見上げながら、入場待ちの列へ並ぶ。前には行商人と思われるおっさんが、荷車の横で暇そうにしている。せっかくなので声をかけることにした。


「すみません。どれくらい並んでますか?」

「なんだい兄ちゃん、どれくらいってそうさなぁ…大体半刻くらいだな。」


 半刻…30分ってことか。これプレイヤーが来たら行列大変なことになるんじゃ…

 そこで行商人は僕の背負う銃に気づいたようだ。


「な!兄ちゃんは銃士なのかい!?」

「はい、旅の銃士をしている者です。」


 答えながらそんな設定があったことを思い出した。

 たしか、僕らプレイヤーは旅の銃士と呼ばれる存在で、魔物と最前線で戦うことを生業にしている。銃士になると蘇生が出来るようになる代わりに、個人差があるが休眠期間が必要になるということだ。ログイン時間が開くことにNPCたちが疑問を持たない理由って設定だったかな?ちなみにまだ会ったことはないけどβの時にはNPC銃士もいたらしい。


「なんだ、銃士ならこんな列並ばなくて大丈夫だぞ。」

「えっ、そうなんですか?」

「あぁ、あっちに専用の入り口がある。あ、おーい!そこの衛兵さんよ!この兄ちゃん銃士だってさ!」


 行商人のおっさんが声を張り上げると、門の脇で待機していた衛兵が1人こちらにやってきた。


「君は銃士か。なら銃士用の入り口はこっちだ。」


 衛兵はそういうと閉じていた別の扉へ向かった。


「ありがとうございましたっ」

「礼なんかいらんよ。町で見かけたら俺の品物でも買ってくれや。」


 行商人のおっさんに礼を言って僕は衛兵の後を追った。





ようやく町へ着いた!………だけですねぇ…


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