2.ゲームスタートと最初の獲物
早めに完成したので今日投稿しちゃいました。土日はさすがに無理かな…
そして終わらないチュートリアル(さすがに次で終わります)
次に気がついたとき、僕はもうゲームの中にいた。
周囲は所々に木がはえた草原のようだ。
『気がついた?』
「はい。ここはもうフィールドですか?」
隣にはクイーンが先ほどと同じ服装で立っている。
『そそ、ここは西セルトラク平原。聞き覚えある?』
「んー、βの時になんとなく… 来るのは初めてですね。」
『そっか。とりあえずここが正式サービスのチュートリアルフィールドよ。』
「正式サービスで場所変わったんですね。前のときは完全な草原でしたが。」
『障害物を使った戦闘も大事になるのわかるでしょ?』
「隠れ方も学べってことですね。」
『ええ、でもキミの場合は省いてもいいかな?』
「まぁ、散々体感しましたからね…」
『ってことで次よ!』
新たなアイコンが目の前に現れる。
『サブ武器の設定。新規追加されたのは投げナイフ、籠手、手裏剣、かんざし、吹き矢の5種類よ。』
「忍者っぽいのがやけに多いですね。」
『和風装備も充実させたのよ。それにあわせた措置ね。』
「そうですか。まぁ、前と同じにするつもりなので大丈夫です。」
『ねぇ…初回チュートリアルってこんな退屈なものだっけ?』
「色々省いといてそれ言います?」
『むぅ…』
「とりあえずチュートリアルの続きをお願いします…」
『つづけるわよ…』
先ほどと同じように、でてきたアイコンをスクロールしてお目当てのものを探す。お、見つけた。
『銃はリボルバーでいいの?狙撃銃とリボルバーだけじゃ近距離戦難しいわよ?』
「基本的に近距離で戦うつもりはないですし、もしそうなったら銃剣でなんとかしますよ。」
『じゃあ近距離武器は銃剣でいいのね?』
「はい。」
『わかったわ。あとは魔法の選択ね。こっちももう決まってるの?』
銃剣のアイコンが選択され、表示が切り替わる。
「魔法スキルは白と緑でお願いします。」
『ふーん。回復魔法の白はわかるけど緑の自然魔法っていうのは珍しいわね?』
「森の中での戦いが1番得意なんですよ。それにスキル成長させれば簡単な土魔法と水魔法も使えますし。」
『あー、そのあたりまで知ってたのね。たしかにβの時と派生スキルは変更されてないわ。』
自然魔法の応用性の高さはβの頃証明されていた。まぁテスト終盤でようやく発見された事実なので、ほとんどのプレイヤーは知らないかもしれない。
もちろん欠点もあり、メインの自然魔法がなかなかに使いどころが限られる。砂漠や高山といった植物の少ない環境では大した威力が出せないのだ。
目の前で白と緑のアイコンが選択され、最後に全体の確認が表示される。間違いが無いことを確かめ確定を押す。
『うん、これで武器と魔法の選択は終了ね。あとは最後の実践練習になるわ。準備は大丈夫?』
僕がβテスターのせいなのか、細かい操作説明は大して無いまま最後の課程になってしまった。基本機能はβ時代と変更なしと考えていいのかな?
とりあえず問題はなさそうなのでクイーンにうなずいてみせた。
『じゃあ始めるわよ。』
彼女がそう告げると、30メートルほど離れた場所に1頭の猪のようなモンスターが現れる。あれを狩れってことかな?
『これからこのワンス・アイ・ボアで練習してもらうわ。出現数は合計10頭。3頭目以降は出現位置も数も変わるわよ。武装は初期装備ね。』
彼女の言葉が終わると同時に肩と腰にずしりと重さがかかる。背中に手をまわし、肩にかけられたライフル銃を下ろす。
与えられたのは最初と同じ典型的な初心者用狙撃銃だ。見た目はかつての世界大戦で日本軍が使っていたものに似ているらしい。反動が少なく、そこそこの精度とお手頃な値段で、βの頃から人気銃の1つとなっていた。たしか20数年前に滅亡した大帝国の主力銃が世界中に放出された、とかいう話だったかな?
ボルトハンドルを引き起こし、そのまま手前に引く。腰のポーチからクリップでまとめられた5発の弾を取り出し、手早く開いた弾倉に押し込む。クリップだけを引き抜きボルトハンドルを最初の状態に戻す。別の事を考えていても体は動きを覚えていたようだ。
猪が動く様子がないので、ライフルを一旦肩にかけ直して今度は腰のホルスターからハンドガンを抜く。こちらも初心者用5発タイプのようだ。ライフルと違って既に弾は入っていたので元のホルスターに戻す。最後に腰に吊るしてある銃剣の存在を確認した。
武器は全て問題がないことを確認し、もう一度ライフルを肩から下ろす。
猪は先ほどと同じ位置にいた。ずいぶんお気楽な野生動物だなと思ったが、よくよく考えたらまだチュートリアルの最初の1頭だ。いきなり移動したら初心者には当てようがないだろう。
僕は立ち姿勢のまま銃を構えスコープを覗く。大した距離がないので、初期の低倍率スコープでもレンズいっぱいに猪の姿が見えた。
銃の安全装置を外す。指をゆっくり引き金にかける。
緊張よりも3ヶ月ぶりの獲物に胸の高鳴りを感じた。
一瞬だけ息を止め引き金を引く。
乾いた音と共に弾が撃ち出され、猪の首もとに着弾する。
モンスターの核である魔石が一瞬で砕け、猪の体が緑に光りそのまま光の破片となって消滅した。
銃に関しては日本軍の三八式歩兵銃にしようかと思いましたが、実物の細かい操作方法は知らないので見た目よく似たもの扱いにしときました。ゲームですしね!(銃警察の方が怖い)