04.プロットを考えてみました
【起承転結、序破急は……】
プロットを考え始めるのですが、始めから起承転結、序破急みたいなものを考えることは放棄していました。この作品は物語展開ではなく、設定で読者の興味を引き続けるタイプの作品になるように思いました。私は多くの「なろう」作品序盤での、主人公が世界の仕組みを解いていくくだりが好きで、この作品もそういう種類の作品になれるだろうと思った次第です。
【エピソードを挙げてみました】
ということで、まずは物語を構成する断片的なエピソードを、思いつくままに挙げていきました。
まず、大怪獣と戦う。陸、海、空と3回。
続いて怪獣ときたら、怪人もありかと思いつきます。悪の結社の設定も考えてみることにしました。
怪人とくれば、正義の味方側は――この作品に正義も悪もないのですが――パワーアップアイテムの追加です。ここでこの世界では、鳥類は別にして、転移者だけが空を飛べる、という設定を思いつきました。この段階では具体的な方法は決めず、主人公の超常の力でどうにでも理屈を用意できると後回しです。最終的には、主人公は妖精として現界することにしたので、妖精が転移者を運んで飛ぶ、という形で実現されます。
もう1つ、パワーアップアイテムを用意したいと思ったのですが、こちらは何にするのか決めるところから難産でした。いろいろな特撮のアイテムを思い浮かべ、魔法の威力をブーストするアイテムにしました。
続いて視点を変えてみます。宇宙人のMMORPGでもあるので、この面からエピソードを列挙します。
フレンドとの共闘や、逆にPvP(プレイヤー対プレイヤーの戦い)がパッと浮かびます。
イベントもあるでしょう。いくつかの実際のソシャゲを思い浮かべ、戦争イベントとダメージチャレンジコンテストを候補に挙げました。
またリアルに絡めて、友人がゲームを新規にやり始めてそれを手伝う、というものも加えます。これはボツにしましたが、実は親がかつて伝説的なプレイヤーだった、というエピソード案もあったり。
最後にゲームの枠の外で、宇宙人に敵対する存在を考えてみます。
惑星上の驚異となる存在としては、現地神とウイルスを思いつきました。現地神については、主人公が神を超える存在であることもあり、神そのものではなく、意志のある自然災害としました。ウイルスについては、蚊として登場することになります。宇宙レベルの敵としては、「惑星まるごとテーマパーク」に思想的に反対する組織を考えてみました。
【定住するのか、旅をするのか】
以上、全てを使うかどうかは要検討ですが、エピソードの数は十分揃えることができました。次は各エピソードの順序の検討です。
最初に検討したのは大怪獣のエピソード。ここで物語の性格に大きく影響することになったのが、海の大怪獣です。これと戦うためには、主人公は海に行かないといけません。湖の大怪獣に変更するのもありでしたが、定住するよりは世界を旅する話にしたほうが、話に変化をつけるのも楽そうです。こうしてこの物語は、世界を旅するロードムービー型にすることにしました。
更に大怪獣の登場順序を詰めます。この3大怪獣はとんでもなく強い存在、主人公たちに勝ち目はない存在にしようとしていたのですが、そうした中でそもそも戦いが成立しそうなのは陸の大怪獣だけだと思いました。ですので、陸は最後にします。残った海と空とでは、海のほうがより戦いを成立させづらく感じました。そこでまず海の大怪獣により読者に大怪獣の存在を知らせ、次に空の大怪獣によりその桁違いの強さを実感してもらい、最後に陸の大怪獣との戦いに入る、という展開にしようと思いました。実際には、この順番は変更することになります。
また、旅をするなら、その目的と目的地が必要です。ここで、「転移者が地球帰還の手がかりを求めて、宇宙人の大拠点を目指す」、という物語の大筋を決めることになります。
【エピソードを詰めてみました】
こうした大怪獣の登場順序を並べる過程を通して。同じようにいくつかの変化軸に注目して、その軸上ではどのように変化させるのかを意識すると、プロットの順序を決めやすいことに気づきました。……抽象的で分かりづらいので、具体例を列挙します。
転生者の仲間は、妖精、惑星の知的生命体、宇宙人プレイヤー、の順に増やす。
転生者の異世界知識は、魔法、世界地図、特別な種族(正体は宇宙人)、の順にする。
転生者の能力は、魔法、飛行装備、回復魔法、魔法強化装備、爆発魔法、と強くなる。
毛色の異なる軸として。読者への設定開示は、遠隔操作ロボット、ログオフ時の生活、銀河連邦、月裏にいる、の順にする。
……といった具合です。それぞれの軸について変化内容と関連させられそうなエピソードを並べ、終わったら全ての軸で整合を取り、場合によっては個別の軸の変化順序を入れ替えたりしていきます。こうしてメインプロットを組み上げました。
ただここで1つ、大きな見落としをしました。宇宙人側の転生者の認知順序については詰めが甘く、書き始めてからつじつま合わせに苦労することになります。転生者は最終的には強大な魔法を行使するので、この変化軸をメインプロット段階で考慮していた事自体は良かったのですが。しかし宇宙人を、宇宙人一纏めにしていたことが問題になりました。書く過程で宇宙人組織を惑星調査隊とゲーム運営の2つに分けたのですが、この組織間で転生者の認知にズレを生じさせないと、物語が不自然になるのです。このことに、書くまで気づくことができませんでした。
【登場人物の詳細設定は……】
こうして設定と大まかなエピソードの流れが用意できました。いよいよ物語の執筆です。
ここで普通なら書き始める前に設定しておくと思われる、登場人物たちの名前や長所、短所などについては後回しにしました。設定しようとしてできなかったというところもあるのですが、プロットを固める過程で設定を決める必要性が生じませんでした。
登場人物の設定は、話を書き進める上で必要になったらその都度に考えていくことになります。
次回から執筆編に入ります。