01.設定を考えてみました 世界編
準備編は「ファンタジー・ワールド・オンプラネット」固有の話題が多いです。
執筆編から、小説執筆一般に通ずる話題が大幅増加します。
【また書き始めました】
春に書き始めてあっさり撤退したのですが、初夏に入ってまた頭痛がひどくなり。再び気を紛らわすために、小説を書くことにしました。そして「今度は『なろう』に投稿するまで書き切る」と心に決めます。大した理由はありませんでしたが、投稿して見えることもあるだろう、せっかく書くのだからそこまでやりきろう、などと思いました。
ただ気合だけで書けないことは、分かっています。また作品を投稿して読んでもらうということは、読者の時間を取るということ。できるだけのことは、しておきたいものです。
前回は舐めプが過ぎましたので、もう少し計画的に取り組むことにしました。
【主題のようなものを決めてみました】
主題というと大げさなのですが、話や設定を考えるにあたって、取っ掛かりになるテーマのようなものを考えてみました。前回は、言わば、ストーリーから手を付けたのですが、今回は設定から決めてみよう、といったところです。どちらの方法が良い悪いとは、思っていません。そして浮かび上がったのが、「弱点のないチート」です。
よくマンガや小説の書き方ハウツーでは、「登場人物には弱点を用意しよう」という類のコツが挙げられています。以前からこの点について、「弱点がないと、どうつまらなくなるのだろう?」という疑問を持っていました。また「なろう」作品を読んでいても、せっかくの「俺TUEEEE」設定なのに、何かしら設けられた制限により、抑圧的なもの、爽快感に陰りのようなものを感じることが多々ありました。そうした以前からの漠然と感じていた問題意識もあって、主人公は全知全能、ある宇宙の最上位の存在である「宇宙マスター」と設定することにしました。
【物語の世界を決めてみました】
続いて検討したのが、世界、物語の舞台です。まず最初に、リアルな世界にするのか、バーチャルな世界にするのかを決めようとしました。
バーチャル世界の方が、法則含めてあらゆる物事がプログラム上のものなので、世界構築の自由度が高く、考えるのが楽そうに見えました。今、流行りの物語舞台でもあります。しかしそうした世界では、「全知全能」は開発者が細工すればなれてしまう存在なので、ありがたみが薄いです。先に主人公を「宇宙マスター」としたこともあり、この「宇宙」という言葉に引きずられるところもあって、リアル世界で行くことにしました。
そうすると今度は、どの程度リアルにするのかを、決めておきたくなります。
現実の地球やその延長線上の宇宙を舞台にする作品を書くのは、私の貧しい知見では茨の道が待ち受けていそうでした。魔法は扱いたかったのですが、そうした舞台で魔法をそれらしく登場させるのも、ハードルが高そうに思えました。アニメや特撮、ゲーム、漫画などで、現実世界を舞台にしながらも設定が緩い作品はいくらでもありますが、そうした媒体たちと比べると、小説は設定に向けられる視線が相対的に厳しい印象があります。文字だけで勝負している媒体だからでしょうか? かといって、別次元の幻想世界などを舞台にするのは、全知全能感が弱まる気がします。
長々と書きましたが、要は「世界がリアルであるほど、全知全能な者の存在感はより極まる。でもリアルであるほど、緻密な設定が要求される」と感じていたのだと思います。こんな思考を重ねて、宇宙が舞台なのだけど、我々の宇宙とは別の法則に支配されている宇宙、という、ごまかしをきかす余地のある世界を舞台にすることにしました。
【書きたいことと、書けること】
少し前進しましたが、先の検討は、自分の書きたいことと書けることには大きな開きがある、という気の重くなる課題を突きつけてきました。
リアル寄りの世界を舞台にすることにしたのは良いのですが、そうした世界を構築する知識がありません。SF的なことを書くことになりそうでしたが、充分な理科や数学の知識があるわけではありません。社会の仕組みも考える必要がありそうですが、政治や経済も分かっていません。
仕事や趣味で、何か突出した知識を持っている分野があればいいのですが、それも無い。MMORPGをやったことが無いのも、足を引っ張りそう。このような有り様で引き出しが空っぽに近く、出せるものが乏しいのです。
ならどうするか?
それでも手持ちの武器で戦うしか無いと開き直るとともに。付け焼き刃でもやらないよりはマシと、インプットを増やすことも心がけるようにしました。手っ取り早く知識が増えそうな初心者向けの情報を、片っ端から拾い読みしてみます。ありがたいことに小説執筆ノウハウの情報は、無料でもたくさんあります。市の図書館にも出かけて、情報収集をしてみました。
【世界の設定を掘り下げました】
話を戻します。先に、バーチャルではなく、リアルな世界を舞台にすることにしました。これだけでは、まだ設定に幅があります。現実の地球上の話から、妖精などがいる幻想世界までありえて、何も決まっていないに等しいです。ここで設定を詰めていくにあたり、基軸にしたことは2つ。1つはできるだけ世界をリアルに寄せて、チートを凄いと感じられる設定にしたい、ということ。もう1つは、モンスターがいて魔法のある世界にしたい、ということです。
しかしこの2つ、私の中では矛盾しています。リアルに考えるほど、魔法が成立するような法則が思いつきません。「発展した科学は魔法と区別がつかない」という有名な言葉がありますが。炎、氷、電撃といった攻撃魔法はそうした武器を杖にでも内蔵すれば実現できるでしょう。しかし例えば飛行魔法、反重力装置で浮くことができても、推進がジェットやプロペラでは興ざめです。例えばマジックバック、これ、どうやったって作れそうな気がしません。
……魔法を実現させる理屈についてはずいぶん考えたのですが、自分が納得できるような仕組みを考えることはできませんでした。結局「謎科学」を持ち込むことによって、魔法が使えている世界、ということにしました。高度な科学文明なのだけれども、なお謎の現象が残っている、という世界です。一瞬、「謎の現象」を実用に用いることなどあるだろうかと疑問がよぎりましたが、現在でも「磁力」などはその原理が分かっていないのに利用しています。あってもおかしくないと、自分を納得させました。
モンスターについては、2パターン考えました。このような高度な文明でも脅威な存在にするか、わざと生かされている存在にするか。主人公が全知全能なので、前者に設定しても緊迫感が出そうな気がしません。超科学文明ですし、後者のほうが無理がないだろうと判断しました。
こうして、超科学文明、謎現象で魔法が使える、モンスターが生かされている、と、創りたい世界が固まってきます。そしてこの3つが同時に成立する世界として、超先進文明のテーマパーク、未開惑星をまるごとMMORPGのフィールドにしている世界を思いつきました。
【テーマパークの経営をリアルにしてみました】
惑星まるごとをMMORPGのフィールドにしたテーマパーク、思いついた瞬間、面白そうだと思いました。ただ技術的には実現できるとしても、経済的には割が合わなく不合理な存在に感じました。この程度の設定の詰めで小説を書くと、どこかで矛盾が生じて行き詰まりそうな気がしてきます。惑星まるごとテーマパークが成立しうる、社会背景を詰めることにしました。
最初に必要だと思った設定は、この宇宙人たちはゲームが大好きである、享楽的な文化志向が強い、ということ。そうでないと、こんな事業をそもそも興さないように思えます。
次に経済的に豊かであること。この時点では詳細を詰めていませんでしたが、この惑星の各地にゲーム用の施設を設置する必要があるはずです。相当の資金がないとできません。もしくはそうしたインフラ整備が、とてもローコストに実現できるような文明であるはずです。
この2点については両方とも満たしていることにしてみました。これらを満たすことができる状況を考えてみると、この宇宙人はエネルギー生成、資源採掘、食料調達などの自動化を実現しているように思えます。それでもリソースは少しずつでも減少していくはずですから、ゆっくりとその勢力宇宙圏を広げていることでしょう。そしてこの状況であれば、その文明の民は基本的な衣食住は無償で支給されていそうな気がします。
……こうした設定を考えるのは良いのですが、小説を書く上でどこまで詰めておく必要があるのか、見当がつきませんでした。また社会の仕組みを一通り設定するにしても、どういった項目を押さえておけばいいのか分かりません。宇宙人の社会については引き続き考えることにして、別の検討を進めました。
【倫理観を考えてみました】
次に決めたのは、この惑星に生物は存在するのかどうかです。これはあっさりと設定することができました。わざわざ惑星まるごとを遊び場にするのであれば、人工生物、ロボットのようなものにモンスターやNPCを務めさせて遊ぶのではなく、その惑星にいる生物を相手にして遊ぶように思いました。
しかしそうするとなると、この宇宙人たちは現地の動物を殺して遊んでいることになります。そのような遊びには、共感し難いです。この点、この設定構想段階では、我々の世界でも貴族や富裕層が狩りを嗜みとしているのと同じ感覚なのだと、しておきました。同様に、この惑星には我々人類と同レベルの知的生命体もいることにするのですが、遥かに発展した文明の宇宙人は、我々がペットと遊ぶのと同じような感覚で接していることにしました。
こうした倫理観の設定は、小説を書き進め、宇宙人プレイヤーたちの描写を重ねるに連れ、日本人的な倫理観に寄せていくことになります。
あと、宇宙人たちも倫理観・価値観はさまざまなはず、このような遊びに反対する一派が存在してもおかしくないと思いました。この発想は、物語のラスボスの設定へと連なることになります。
こうして大枠が固まってきたので、次はテーマパーク上でプレイされるMMORPGのシステムについて考えてみました。