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漢!漢!漢!!!熱き勇者達の冒険章  作者: レモネード
第1章 始まりは筋肉と共に
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第8話 ギル先生の魔法講座2

 なんだか努のセリフが少なくて主人公なのにキャラが薄いと感じていました。

 なので今回から、努の一人称視点で物語を書き進めて見ます。

 俺はそのあと、他の属性魔術の代表的な魔術などを教わった。例えば火属性なら、火を固めて相手に飛ばす『ファイアーボール』などだ。

 俺が聞いたことのあるような効果のものは多かった。



 魔術に関する講義をようやく終わり、ようやく魔法を使う鍛練を開始することになった。



「よっしゃ、まず何はともあれツトムの適正属性の魔術を調べんぞ。」


「適正魔術ってどうやって調べるんだ?」


適正を調べるったってどつするんだろう。やっぱり定番の()()か…?



「それにはこいつを使う。」


 そう言ってギルは持ってきていた鞄から水晶を出した。…やっぱり()()だったな。



「水晶…?」


「そうだ。この水晶型の魔道具に手を当てる。それだけでそいつが保有する魔術の素質と潜在魔力量が分かるんだ。」


 そう、異世界転生や異世界転移で定番の()()だった。それで俺の保有する魔力量や適正の属性が分かるらしい。



「この魔道具1つでいくらすると思う?これだけで俺の給料1年分だぜ!?」

「そんなものを直接鞄に入れてくるなよ…。」


 ギルの年収がいくらかなんぞ知らないが、相当お高いらしい。そんなものを鞄にそのまま突っ込んで持ってくる辺りギルらしいと思う。



「んなこたぁ、いいんだよ!取り敢えずこいつに手を当ててみろ。」


 ギルが急かしてくる。何だよ…。まあそんなことを言っていてもしょうがないし、俺はギルの持ってきた水晶に手を当ててみる。


 勇者って言ったら光属性の魔術が1番適正あるのかねえ。やっぱり水晶は壊れたりするかな…?


 期待を胸に俺は水晶を覗いてみる。すると、水晶が強い光を発した。最初は無色の光だったが、次第に茶色い、光が混じっていく。

 そのまま暫く光続けていたが、次第に光が収まっていく。…流石に壊れたりはしないか。まあ、間近で割れられても危ないしなぁ。



「ツトムの適正は『土』だな。魔力量も中々多いじゃないか。」


「土、…勇者の使える魔術としては地味じゃないか…?」


 勇者といえば光、その定義は俺には当てはまらなかったらしい。

 …それにしても土か。魔力量も驚くほど多い訳ではないみたいだ。

 いやまあ魔法が使えることに変わりないしいいんだけどな?なんちゃらの錬金術師みたいなこともできるかもしれないし。



「確かに勇者が使うには土属性は地味だな。だけどこの魔術は結構便利なんだよ。それに他の魔術より魔力の効率がいい。」


「魔力効率って、魔力の消費量が抑えられるってことか?」


「それもそうだし、魔術の完成するスピードも早い。」


 どうやら土属性は色々と良いことがあるらしい。



「まあそれも鍛練次第だな。俺くらいになるとどの魔術も同じくらいの早さで完成させられる。」


 本日何度目か分からないドヤ顔だな…。油断するとギルはすぐこの顔をする。もう見慣れたな。



「それで魔術の生成の仕方には2種類ある。1つは無から有を造り出す方法。もう1つはすでにあるものを使って造り出す方法だ。」


 どうやら魔術には2種類の生成の仕方があるらしい。感心していたら、ギルは手から小さな火を産み出した。



「こいつが無から有を造り出す方法。何もないところから魔術を生み出せる。」


 おお、ちゃんと見るのは初めてだ。これが魔術か!それに今ギルは詠唱みたいなことは何も喋っていなかった。

 良かった…、これで小っ恥ずかしい詠唱を叫ばなきゃならない可能性はなくなった…。


 ギルは手の上の火を消して、次に鞄から水筒を取り出した。



「そんでこいつが有るものを使った方法。そしてすでに有るものを利用している分、こっちの方が消費する魔力が低いんだ。」


 ギルが手のひらを上に向けると水筒から水が出て来て、ギルの手の上で水の塊となって浮いている。おお、プルプルしてる。これ便利だなぁ…



「理屈はなんとなく分かるだろ?」


 どうやら魔術のメカニズムは、魔力を体内から出して、形を決めて固める→属性を加える→魔力が込められた属性のものに変化させる。という感じらしい。



「火属性なんか火種を用意したりすると魔力消費が抑えられるんだけどなぁ、結構しょっぱいもんだ。水属性だと水筒に水を入れておいたり、水場の近くで使うとかだな。」



 なるほど、火属性は火種を使えば消費が抑えられるのか…。どっかの大佐みたいに摩擦を起こす手袋でもはめとけばいいのかな。

 ん…?なら土属性は…



「もしかして土属性なら場所を選ばずに魔力消費を抑えて使えるってことか…?」


「そういうこと。だから土属性は使い勝手がいいってワケ。」



 当たっていたらしい。なんだ、土属性凄いじゃないか。ごめん土属性、お前のこと侮ってたよ…



「まあ世間一般では地味で使い道の少ない魔術って言われてるけどな。」


 どうやら土属性の評価は世間では低いらしい。まあやっぱ地味だもんな。



「だけどそんなんは魔術を知らないが一般人や修行不足のアホだけだ。熟練の土属性使いは戦争でも重宝されるしな。」


「そうなのか。陣地作りとか?」


 壁やら堀なんかを作れるのかな。もしかして実際に一夜城ができたりするのか…?



「そんなところだ。あとは落とし穴なんかも作ってたな。まあ魔族相手にはほとんど意味がなかったけどな。」


 そもそも魔族には空を飛べる者が多いみたいで、落とし穴のほとんどはゴブリンやオークなどの下級の魔物にしか意味がなかったみたいだ。



「よし、説明終わり!じゃあツトム、今度は魔力を感じ取る鍛錬だ。これができなきゃ始まらねえからな。」


「ようやく鍛錬開始かー、長かったなぁ。」


 ようやく今日の本題に入るらしい。魔力を感じ取るか…、一体どうすればいいのやら。



「まずは自分の下っ腹あたりに意識を集中してみろ。」


「了解。」


 下っ腹下っ腹下っ腹…、魔力魔力魔力魔力………




「わからん!」

「だろうなー。まあ知ってた。これで出来るやつは俺くらいなワケよ!!」


 うるせぇ。じゃあなんでやらせたんだよ。



「そんじゃ手出せ。」


「ん」


 俺は素直にギルに手を差し出す。するとギルは俺の手を掴んで握手する形になった。

 するとなんだかギルの手から何かが送り込まれているようだ。手から全身に巡って体が熱くなってきた。これが魔力か…?



「なんか感じたか?」


「ああ、なんかギルから熱いのが俺の体の中で入ってきて、血液みたいに巡ってる感じだ。なんだこれ?」


 なんか表現が嫌な感じになったが、これ以外に言いようがない。



「バッカヤロー!!、そいつがルパn…魔力だ!」

「おい今なんか変なこと言いかけなかったか!?」


 どうしてお前が知っているんだといいそうになったがギルは何食わぬ顔をしている。どういうことだってばよ…



「良かったな、こいつを感じられなきゃ次には一生進めないからな。じゃあ、またさっきと同じことをやってみろ。」


 言われた通りにやってみる。下っ腹……、魔力……。おお、これか。なんだか温かいもんがある。これが魔力か。ついでにこいつを先ほどの血液のように巡らせてみるイメージをしてみた。

 すると、ギルが俺に魔力を流していた時と同じようになった。すげえなこれ。



「ギル!できたぞ!」


「早えな。まじかよ…。これには普通のやつらは少なくとも2週間はかかるってのに…。これも勇者様の特典ってやつか?」


「まあ俺の才能ってやつかな?」


 俺はいつものギルがやっているドヤ顔を真似る。するとギルは俺の頭にチョップをかましてきた。痛え…



「アホ、調子に乗るな。大体これは俺の方が早かったっつの。」


 そういえばさっき補助無しに魔力を感じ取れたって言ってたな。このチートめ…



「まあいいや、そんじゃあその魔力を体の外に出してみろ。ほら、できるだろ?」


「嫌な顔しやがって、見てろよ…。」


 むかつく顔をしたまま指示するギルを横目に俺は体内に巡らせた魔力をどうにか体から出そうと試みる。

 難しい…、やっぱり手から出すイメージがいいのかな。


 そう考えているとギルがアドバイスをよこしてきた。


「魔術の本質はイメージだ。自分がやりやすいイメージを頭に思い浮かべてみろー。」


「あいよ。」



イメージ…、蛇口を捻って水を出すイメージをしてみるか。この手のひらで塞き止められている魔力を……、出す!


おお!出てきた出てきた!どんどん出てくるぞ!……止まらん。



「ギル!?これどうやって止めるんだ!!?」


「お、成功したのか?流石に早くねえか?」


ギルは驚きと感心の混じった目でこちらを見てくる。いや、違う違う、そうじゃない。


「ちょっ、これの止め方を教えてくれ!」


早くしてくれ早くやばいやばい!!



「分かった分かった、まずは落ち着けって。別に死にゃしない。さっき魔力を出すイメージをしたんだろ?その逆をやればいいだけだ。出せたんなら止められるはずだ。ほれ、頑張れ。」


さっきと同じように蛇口をイメージして、それを締めるようにする。そうすると溢れでていた魔力がピタリと止まった。



「ふぅ…、死ぬかと思った…」


「だから死なねえっての。精々気持ち悪くなって吐き気がするくらいだよ。」


「いや、んなこと言ったって焦るだろう。あれは…」


「まあそれもそうか。普通の魔術師はあんなに魔力が出ることなんてないからな。相当流れてたなぁ、半分くらいはいったんじゃないか?」


「多分そのくらいはいったのかな…?」


先程のは異常だったらしい。これは喜んでいいのかどうなのか…微妙だな。



「まあ丁度いいか。今ので魔力が減っただろ?次は周囲の魔素を感じとって、取り込む鍛練だ。これは早く魔力を回復させる効果ある。取り敢えずやってみろ。」


やり方の説明はないのか。またもやギルの無茶ぶりだ。まぁやってみるか…。


 集中して周囲の魔素を探ってみる。魔素…、魔力になる前の霧状のものが漂っているはずだ。


 暫く神経を研ぎ澄ませていると、肌に風が纏わりつくような感覚を覚える。

 そう感じたと思ったらすぐに、周囲の魔力を認識出来るようになった。



「ギル、感じ取れたぞ。」


「よし、そしたらそれを取り込んでみろ。なんかもう何も言わなくてもできそうだ。やってみろ。」


 そういうと、ギルは鞄から本を取り出して読み始めた。

 それはもう仕事の放棄じゃないか?職務怠慢で王に訴えてみようかな…。


 なんて考えながら周囲の魔素を取り込んでみる。なんだろう、掃除機か?…いやなんか違う気がする。うーん、取り込む…取り込む…。そういえば高校生でニキビだらけだったときに使ってた化粧水は肌に浸透する…みたいな謳い文句だったな。なら化粧水が肌に浸透していく感じでやってみるかな。


 周囲の魔素が体に浸透していくようにイメージしてみる。出来たみたいだ。先程失った魔力が再び体に貯まっていくように感じる。


「ギル、出来たぞ!」


「なんだ、もうできやがったのか。」


 ギルは読んでいた本を閉じた。予想より早く出来たみたいだな。ざまみろ。


「ああ、もうさっきなくなった分も全部戻った。」


 そう、先程失った魔力は今ので全て回復することが出来た。こんなに早く回復できるなら持てる魔力の上限なんてほとんど関係ないんじゃないか?


「はぁ!?もう回復仕切ったってのか?あの量を?」


「そうだけど…?」


「いやいやあり得ないだろ?あれは普通は自然回復よりはマシ程度にしか回復しないモンだぜ!?」


「いやいや、そんな訳…マジで?」


 そんなことあるか?だって中々にスッと入ってきたぞ?そんなに難しいことなのか?



「まじだ。…はぁ、流石は勇者様ってとこか?」


 ギルがやれやれといった感じで首を振る。これは俺だから出来たのかそれとも召喚者の特典なのか…。



「一応聞くがイメージはどんな感じでやったんだ?」


「それはこう…肌に魔素が浸透していくような感じ?」


 化粧水って言って伝わるか分からないし、伝わってもなんかやだなぁ。



「肌に浸透していくイメージか…。まあそこまで違うってワケでもないのか。」


 「やっぱりツトムの体自体に関係があるのか…?」などとギルがぶつぶつと呟き、思考の渦に入っている。

 俺のことは完全に放置のようだ…。脱線ばっかりだな今日は。



 ギルは暫く考え込むと急に顔を上げて、結論を出した。



「うん、分からん!!」

「おい、今の時間を返せ。」


 なんだったんだよ今の時間。10分は黙って考え込んでたんだぞ…?



「分からんもんは分からん!ツトムの元々の体がそういうものなのかそれとも、召喚の魔法陣にそういった仕掛けがあったのか。研究も進んでないんだ。今の段階では何も言えることがないってワケだな。」


「まあ、しょうがないのか…。」


 確かに今の段階では情報が少ないし分かることは少ないだろ。そんな中で結論なんて言える訳がない。俺はそう納得した。

 今は俺が魔術使い放題だってことだけを考えていればいいか。



「じゃあ今はその話は置いておくぞ。」


「ああ。」


 どうやら次のステップに進むらしい。



「次はまあさっきやってたことのまとめだな。魔素を取り込み循環させ、魔力として放出させる。これを『魔力循環』って言ってな、これが保有魔力量を増やすのと無属性魔術の鍛錬になる。これを流れるようにやるんだ。やってみろ。」


 言われた通りにやってみる。周囲の魔素を取り込み循環させて放出…。全てを流れるようにやるってのは結構難しいな。取り込む量と放出させる量も調節してやらないと体内で魔力を巡らせているときに引っかかったりする。

 なるほど…。これはいい鍛錬になりそうだ。



「これは毎日ってか常にやれ。そんで最終的には息をするのと同じようにできるようになれ。」


「常に…、寝るときもか?これ結構神経使うんだけど…?」


 流石に常にこれをやるのはしんどいんだが…。バリー先生の稽古中にやったら気が抜けてるって言われてボコボコにされそうだ…。



「甘えんな。それが魔術を上達させる1番の近道なんだからよ。それにこんくらいできるようになれないでどうやって魔王と戦うんだ?」


 ギルは真剣な表情で言う。俺は先ほどまでとは違う、ギルの表情に考えを改める。

 …それもそうだな。確かに少し甘えていたかもしれない。それにこれを続けることで魔術も上手くなるってんだし、頑張ってみるか。



「そうだな。スマン!!ちょっと甘えてたみたいだ。気を引き締めるよ。」


 俺も真剣な表情でギルを見つめ返す。するとギルは表情を和らげた。



「おう!そういうワケだ。頑張れよ!」


「ああ!」




 こうしてギルによる魔術講義の1日目が終った。強化などの他の魔術は明日から本格的に始めるらしい。果たして旅立ちの日までにどれだけ上達することができるのか…。楽しみだ!

 ようやく3日目の終わりです。


 そしてここで、作中で今後記述するかまだ未定なので、努の体についての説明をします。


 努の体は、召喚魔術によってこの世界に転移する際に、一度分子レベルにまでバラバラになり、そこから魔術によって再構築されました。

 このときに、出来た魔力の通り道が毛細血管の如く身体中に巡っています。それゆえに魔力や魔素が浸透しやすいのです。よって、魔力の回復も恐ろしいほど早いです。今回の話のように取り込もうと意識しない自然回復の状態でも、ギルが魔力の回復を行った状態と同レベルで回復します。

 そして、属性魔術でもすごいですが、1番は純粋な魔力を使う無属性魔術との相性がとてつもなく良いのです。身体操作の魔術に関しては一般人を1、ギルを10とすると、努は1000といったところです。

 次に努の自然治癒力についてです。これは、努が無意識のうちに常に身体操作の魔術を使って、細胞の働きを活発にしているため、とても早くなるということになります。ただ、細胞の老いは早くなっている…かもしれません。

 この魔術は、努のオリジナルになります(本人も意識していないですが…)。仮にギルが真似をしようとしても不可能です。この魔術は努の体の状態だからこそできるものなので。


 大体努の体についてはそのようなところです。チートは、やっぱりあったんや!ヤッタネ!!


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