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漢!漢!漢!!!熱き勇者達の冒険章  作者: レモネード
第1章 始まりは筋肉と共に
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第15話 師匠たちの奮闘

読んでいただきありがとうございます!!


ブクマも感謝です!!


※今日はこの前に1話投稿していますのでご注意を。

※今回も三人称視点です。

「シシシ、俺に一撃で吹き飛ばされた爺さんと犬っころがよく吠えるなぁ。次はちゃんと殺してやるよ。」


 そういうとジャブダルはシシシと楽しそうに笑う。獲物がまだ生きていた。大好きな悲鳴はお預けだがそれなりの強者をいたぶり遊び殺すのもまたとても楽しいことだからだ。


 それを聞いたタロウはペッっと血の混じった唾を吐き捨てて言った。


「ドアホが。それを言うたらお前なんかただの蛇やろが。それにさっきからシーシーシーシーうるさいねん。なんや、爪楊枝でも使っとるんか?隙間ばっかでえらい楊枝が通り易そうな歯並びしおってからに。」


 タロウは馬鹿にするように言った。馬鹿にされたと感じたジャブダルは尻尾を地面に叩きつけ、鋭い目でタロウを見つめる。



「ハッ!短気やなぁ。それになぁ蛇野郎…今度はこっちがお返しする番や!!」


 姿勢を低くし、四つん這いの状態になり、棒は口に加えた。まるで野生の獣のような体勢だ。ジャブダルは格下のはずのタロウの殺気に、なぜか背筋が寒くなった。そして少し警戒したのか構えをとる。


 タロウは先ほどは意識していなかったが努に少し教えてもらった強化のイメージ方法を実践してみる。筋繊維一本一本というイメージは分からなかったが、自分の外側ではなく内側で魔力を固めていくイメージで行う。

 すると、努と比べ物にならないが、それでも普段の2〜3倍の力を出せそうな気がした。


 それと同時に棒に魔力を通す。

 棒は水色に染まり、周りには複数の雫が浮いている。



「シシシ、来いよ犬っころ!」


 そういうとタロウがかけだした。そしてかなりの速さで両者の距離を縮める。ジャブダルに近づくと跳躍し、口に加えていた棒を離して手に持ち攻撃を仕掛けた。


 タロウの棒とジャブダルの爪がぶつかり合う。力は拮抗しているように見えるが、ジャブダルの表情には余裕があった。


 少しの押し合いの後タロウは後方に一回転しながら下がり、再度攻撃を仕掛ける。

 それにジャブダルも対抗する。


 爪と棒で打ち合う。

 棒で爪の攻撃をいなしてはカウンターを打ち、ダメージを与える。


 ジャブダルに対してタロウの攻撃は、一向にダメージが通る様子もなければ怯みもしなかった。

 だがそれでも攻撃の手を止めない。


 逆にタロウには細かな傷が増えていく。消耗も激しいのか、息も乱れてきている。

 ジャブダルの方は攻撃を対処しながらも考え事をしていた。


 (爺が攻撃して来やがらねえ。何をしてやがるんだ?)


「ハッ!さっきよりは力が増してるが所詮はその程度かっ!!?」


 後ろからバリーが斬撃を加えてきた。魔力、重さ共に十分に乗った一撃はジャブダルの皮膚を切り裂き、その血を撒いた。



「ちっ!爺てめえ!!」


 振り返ったジャブダルはバリーに向けて攻撃をするが、バリーは後ろに下がりそれを回避する。


 恐るべきはその気配を隠す技術の高さだ。先ほどまでは殺気を散らしていたのに、今はまったく気配を感じさせなかった。



「余所見は禁物やぞ!!」


 タロウはそういうと棒の先から緑がかった水玉を産み出し、発射した。



「ハッ!!こんなもん!!」


 脅威として見做さずにそのまま背中でそれを受ける。タロウよりもバリーの一撃の方が重い。弱そうな攻撃よりもまずバリーの方を優先するべきと考えたからだ。

 玉は弾け体を濡らした。それだけに思えたが…



「がああああああ!!!」


 液体がかかった背中からはシュウシュウと音がなっている。皮膚の部分には対して効果はないようだが、先ほどの傷にかかった部分にはかなり効いたようだ。


 今タロウが放った魔術は、水属性の中級魔術『アシッドボール』である。酸性の強い水の塊を飛ばすという魔術であり、当たった者はただの人間であれば火傷では済まない。

 だが速度が遅いという欠点がある。水属性の初級魔術『ウォーターボール』に比べてもその速度は半分程度にしかならず、簡単に避けられてしまうのだ。

 この魔術を知っている者であればまず受けるということはしないだろう。



「テメェ…殺す!!」


「ハッ!油断しとる方が悪いやろうが!それにお前…戦い慣れしとらんのやろ?動きが素人丸出しやぞ。」


「んだとテメエ!!!」


 またジャブダルは踏み出しタロウに攻撃し始めた。連続の殴打に尻尾のムチのような不規則な攻撃も混ざり、一人では捌ききるのは難しい。だがそこからはたびたびバリーの援護も入り、両者ともほとんどダメージが入らなくなった。


 ジャブダルの身体能力は高く一撃一撃が重い。それに皮膚が硬いためダメージが与えにくい。だが技術はまるでなく、素人の様な動きが多いため、まだ対抗することができるのだ。



 そしてタロウの言った事は合っていた。

 ジャブダルは自力で魔人になった訳ではなく、魔王の誕生の影響で魔物から魔人へと進化した。それゆえ人型になって期間が短く、戦う技術が身に付いていないのだ。よって、未だに力に頼った戦い方になっている。



「ふむ、不意を突かれなければそこまでの脅威でもない。魔族とはこの程度だったか。それともお主が弱いだけか…」


 バリーは馬鹿にする訳でなく、ただ淡々と事実を述べた。


 だがそれにジャブダルは大きく反応した。




「俺様が弱い…だと?ふざけるなよ……。ふざけるなあああああ!!!!!」



 ジャブダルの体からまるで彼の怒りを表すように魔力が一気に噴き出す。魔力は強い風のように周囲に吹き撒かれた。



「…かああ…あ…あ…」


 体をプルプルと震わせながら蹲る。


「くっ!なんちゅう魔力しとるんやあいつ!それに…なんや、なにしてるんや!?」


「分からない…!だが今までとは一味違うようだ!!」


 バリーとタロウは離れてそれを観察する。異様な空気に体から冷や汗が出てくる。



「うがああああああああ!!!!!!」


 ジャブダルの背中に亀裂ができ、そこから皮がバリバリと裂ける。裂けたところからはツルリとした皮膚が出て来た。



 そして、皮が全て剥がれ、そこには無傷のジャブダルが立っていた。


 

「ふぅ…。すっきりしたぜぇ。」


 噴出していた魔力は止み、一切魔力が見られなくなった。

 だが先ほどまでとはまるで違い、威圧感は大幅に増しているように感じられる。



「なんやねん…それ。」


 タロウが尋ねる。そして一層警戒しながら返答を待った。

 雰囲気がガラリと変わったジャブダルは、同じものと見てはいけない。そう本能が叫んでいるのが分かる。



「てめえら雑魚共が調子に乗りやがるから少し本気を出してやるんだよ。技術だなんだとうざってえこと言いやがって。なら今からする攻撃も塞げるよなぁ!!?」


 その瞬間、姿が消えた。そうタロウには見えた。



「上だ!!!」


「なん!?―――」


 まったく反応することができず、頭上からの尻尾の振り落としをモロに喰らう。そのまま地面に叩きつけられ、クレーターができる。



「ガボッ!!!」


 タロウは口から一杯の血を吐き、そのまま意識を失った。


 そして次の瞬間にはジャブダルの姿は再び消えている。

 バリーは集中し、どこから来るのか探る。



 (どこだ…、むぅ、気配すら感じ取れぬとは…)

「後ろだぜ?」

「何!?」


 すぐに攻撃がくる。そう考え振り返りながら剣を盾にするように構え下がる。

 だがジャブダルは仕掛けてくることはなく、じっと立ちながらニタリと笑い、口を歪めている。



「何のマネだ…」


「あんたさっき俺に技術がないっていったよな?なら俺の攻撃も捌けるよなぁ?」


 そういうと近づき、攻撃をし始めた。だが速度はバリーの目に追える程度のもののため、冷静にそれを捌く。



「シシシ!この程度は余裕だよなぁ?流石技術が高い爺は強ぇな。じゃあこれはどうよっ!!」


「くっ!!」


 明らかに攻撃の速度が速くなった。対処が難しくなり傷が増えていく。



「オラオラオラオラ!!まだ早くできるぜぇぇ!!!」


「ぬっ!ぐ!!うぐっ!!」


 速度は徐々に上がり、もはや急所を防ぐので精一杯になる。そしてとうとう剣が限界を迎えたのか、バキッという音と共に折れた。


 そして顔面に拳をモロに受けて、バリーは血をぶち撒きながら後方へと吹き飛ばされた。



「まだだぜ!!!」


 だがバリーの体は、ジャブダルの尻尾によって引き戻され、そして目の前に吊るされた。



「シシシシシ!!!やっぱり雑魚じゃねえか!!技術だぁ?そんなもん俺のような圧倒的な力には関係ねえんだよ!!!」


 そう言いながら楽しそうにバリーの腹を何度も殴る。殺さないように、威力を抑え、何度も何度も。

 殴られるたびに嫌な音が鳴り、バリーの口からは血が零れた。


 そして暫くすると、バリーは完全に気絶したようで、反応を見せなくなった。



「なんだぁ?あれだけ大口叩いてた割にはもうお仕舞いか?オイオイそりゃねえぜ!」


 返事をする者はいない。静かな鍛錬場の中でジャブダル一人の声が響く。

 そしてジャブダルはバリーの右腕を見る。



「片腕じゃあバランスが悪いだろ?俺がもう一本の方も…もいでやるよ。」


 そしてバリーの右腕を掴む。次第に力を入れ、ミシミシという音が立ち始め、そして、ボキリという音が鳴った。



「シシシ!いい音だ。悲鳴が聞けないのは残念だけどなぁ…」


 そう言いつつもさらに力を入れようとした。


 その時、ジャブダルの腕が誰かに掴まれた。





「おいお前…。手ぇ、離せや。」





 その青年の髪は黒く、顔はのっぺりしている。ここらでは見かけない顔立ちだ。


「あん?テメエどっから―――」


 その瞬間、ジャブダルは殴り飛ばされた。油断していたとはいえ、その攻撃はまったくみることが出来なかった。

 そして鍛錬場の硬い壁を貫き、外まで飛ばされた。



「がああああ!!!!」


 何度か地面に叩きつけられながら飛ばされ、そして止まった。ジャブダルが立ち上がると、その黒髪の青年はすぐ目の前に立っていた。



「ぐ…テメエ…まさか?」


 口元の血を拭いながらそう問う。すると青年は口を開いた。




「俺は…お前みたいなやつらを倒すために召喚された勇者。勇者努だ!!!!」


 そう大声で叫んだ。

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