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漢!漢!漢!!!熱き勇者達の冒険章  作者: レモネード
第1章 始まりは筋肉と共に
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第10話 棒術と魔術

読んでくださり、ありがとうございます。ブックマーク登録にも、とても喜んでおります!。゜(゜´Д`゜)゜。



※努の武器を、仮で灰棒と呼ぶことにしました。タロウも棒を使ってるもんだからもう訳がわからなくなりそうだったので・・・


※8話目に、属性魔術に関する記述を増やしました。結構雑ですが…

 そして、俺がタロウ師匠と出会ってから1週間が経過した。


 タロウ師匠は俺が思っていた以上に強かった。バリー先生がわざわざ紹介するくらいだ、そりゃ強いだろう。


 彼は、その4本の指で器用に棒を持って、それを巧みに操っている。

 どうやって持っているのか謎だったので、手のひらを見せてもらった。どうやら肉球は犬より薄く、人間の手のひらに近い状態のようで、物を握り混むことができるようだ。

 遠目から見たら分からなかったが、指も1本ずつ離れていて、人間に近い構造のようだ。


 それに俺は知らなかったが、実は指は4本ではなく5本あるらしい。人間の親指の部分よりも少し手首に近い部分から、短い指と鋭い爪がついている。


 確かに2本足で立っていれば前足の肉球が厚い必要もない。獣人たちはそういった進化を遂げたのだろう。




 そういえば、タロウ師匠は犬人という種族らしいが、他にはどんな種族がいるのだろうか。猫はいるとして、鳥とかかな。いつか獣人国に行ってみたいものだ。


 ここで俺は大事な事を思い出した。そう、異世界で獣人といったらケモミミ娘だろう。

 もしかしたらと思って、俺は1度タロウ師匠に聞いてみた。



「なあ師匠、見た目が人族に近い獣人族っているのか?例えば耳が獣耳で尻尾が生えてるとか。」


「何言うてんねん、そんなん居るわけないやろ。どんな不思議な存在やねん。怖いわそんなん居ったら。」


 呆れなかがらそう言われた。なんでだよ…

 俺だって獣人って存在がいただけで驚きだよ。どんな不思議な存在やねん。



「じゃあ人族と獣人族のハーフとかは?」


 めげずにこう聞いてみた。だけど返ってきた言葉は残酷な物だった。


「はぁ?人族に欲情する獣人がおるわけないやろ。逆もそうやろうし。少なくとも俺は1度も聞いたことないわ。」



 デスヨネー。まあ地球にはケモナーと呼ばれる人たちもいたことだし、まったくいないこともないんじゃないかな…?俺は違うけど。



 大分話が脱線してしまったが、棒術の鍛練の話だ。俺はタロウ師匠に会った次の日に、一度動きを見てもらった。



--------------------------------------------- 




 俺は灰棒を腰の高さで体と垂直に持つ。そこから振り上げ、まずは上段から打つ。元の構えに戻して次に中段、最後に下段。相手の頭、腰、足の順番に打つイメージで棒を振るう。

 振るうたびに、「ビッ!」と風を切る音がする。腰は落として体の軸はぶれないようにまっすぐに。


 それから俺はしばらく型を繰り返した。突き、下段払い、中段打ち、左から軽く上段打ちをし、強く右から上段打ち。


 一通り終わり一旦止めると、師匠はこういってきた。



「うん、悪くは無いなぁ。体幹もあるようやし一撃に重さもある。」


 どうやら高評価のようだ。良かった良かった。



「ただツトムが棒を振るう時に想定してるんは、対人だけやろ?しかも相手が魔術を使ってこない前提で。」

「うっ!!」


「普通の相手だったら問題ないやろ。でもな、魔族はもちろん魔物ですら魔術は使うで。それが前提や、それを考えてやりぃ。」


「はい…」


 迂闊だった。相手が魔法を使ってくることなど分かっていたはずなのに、実際の戦いをちゃんと想定できていなかったのだ。それに魔物や魔獣などの人型でない敵との戦いも考えられていなかった。

 反省…



「そもそもな、棒術といえば聞こえはいいがこんなんは棒を武器に戦えばそれがもう棒術なんや。せやからそんな畏まった動きばっかりせんでもええ。」


「…と言うと?」


「投げて使ってもええし足で使ってもええ。他には例えば魔術を取り入れた戦い方やな。というか魔術が使えるんならそれが基本や。」


 師匠は基本とは言うが魔術は使うために集中する必要がある。それを近接戦闘の途中に発動するというのは中々難しそうだと思う。


 しかし魔術を取り入れた戦い方…か。どうだろう。俺の場合、無魔術か土魔術を使ってってことだよな。



「お手本見せよか?ちょっと格好だけでええから構えてや。」


 そういってタロウ師匠は少し下がって棒を構える。確かタロウ師匠の属性は水だったな。



「ほい!」


 そういって師匠が棒を振るうと俺目掛けて水球が飛んでくる。瞬時に避けようとするが、何故か地面がぬかるんでいて踏ん張りが利かず、水球避けられずに顔に水球が当たる。

 衝撃と水で視界がぼやけ怯んでいると目の前に棒の先端が突きつけられる。


 一瞬のことだった。



「どや!こんなもんやな。こんくらいはできるようにならんとな。」


 師匠はそういうとニカリと笑った。

 どうやら先ほどは、水球を放った次の瞬間には振るった先の棒を地面につけて、そこから水を俺の足元まで這わせて染み込ませたらしい。

 そんなんありかい…



「ま、そんなもんで魔術を使いながらっちゅうのを意識して1回やってみぃ。」


 そういって師匠は棒を構えた。かかってこいということなのだろう。



「分かった。」


 とは言ったものの土属性魔術を使った戦い方か…さて、どうしようか。

 そんなことを考えながら灰棒を構える。行き当たりばったりだがやってみることにしよう。


「…シッ!!」


 俺は強く踏み込みながら魔術を発動させる。師匠の足元の地面を薄くして、落とし穴を作る。


 さらに落とし穴にした分の土を集めて土属性魔術、『ストーンブラスト』を発動する。この魔術は対象に石の飛礫を食らわせる初級の魔術だ。


 もちろん師匠にそれだけで効くとは思っていない。現に一歩も動くことなく手に持った棒で必要な分だけ弾いている。


 俺は軽く身体操作の魔術をかけて一気に肉薄する。同時に俺は無属性魔術で魔力の足場を地面ギリギリに作り、それに足をかけながら中段に棒を打つ。


 師匠はそれを避けようと後ろに少し下がろうとする。最小の動きで避けようとするその動きは素晴らしいが、そこは落とし穴の範囲だ。

 師匠の足元が割れて穴に両足が膝まで埋まり、「おおっ!!」っという驚いた声が上がる。俺は寸止めをするつもりで突きを繰り出す。



「もらった!!」

「甘いっちゅうの!!」


 突きだした灰棒は受け流しされ、掴まれる。そして前に引かれ、俺は油断しており、咄嗟に反応できずにそのまま体も前に流れる。


「うおお!!」


 師匠は俺の腕を掴み、そのまま背負い投げのように反対側へ投げ飛ばした。


 俺は灰棒から手を放し、体を叩き付けられないように受け身を取るが、すでに師匠は穴から出ており、俺はまたも目の前に棒を突きつけられた。



「ははは、ちょいヒヤッとはしたがまだまだやね。もう一工夫欲しいところやな。」


「うーん、いけるとは思ったんだけどなぁ。」


 俺は地面に倒れこみながら唸る。師匠相手に落とし穴程度では不十分だったらしい。どうやったら勝てたかな?

 師匠は近づいてきて、俺に手を差し伸べてくる。俺もその手を取り、立ち上がることにする。

 


「それにしても鋭い踏み込みやったな。あれはただの強化か?俺やなかったら避けられなかったやろうなぁ。」


「…でもあっさりかわされたしなぁ。次はもっと強めにかけることにしよう。」


 そう言うと師匠はこいつまじかっていう顔で俺を見てきた。

 なんだよ、何見てんだよー。泣くぞ?



「まだ上があるんかい…、末恐ろしいやっちゃなぁ。まあそんくらい出来んと魔王なんかに勝てんか。」


 そう言うと師匠は勝手に納得したようだ。

 



 その後は再戦しようと俺が言い出して再戦することになったのだが、俺は負けっぱなしもなんなのでポケットからある物をだした。



「そっ、それは!!」


 師匠が焦った声を出した。そう、これは…今朝厨房で貰ってきた骨だ。師匠が骨が好きかどうかは分からなかったが持ってきてみたのだった。



「ふっふっふ…、こいつが何か分かるか?こいつは昨日の夕食に出てきた牛の骨だ。…これ欲しい?」

「ほほほ欲しい訳ないやろ!!犬やないんやぞ!!」


 そういいながらも今も骨に目が釘付けだ。左に揺らせば左に目が行き、右に揺らせば右に行く。

 …面白い。



「いらないのか?」

「いらんわ!!さっさとそいつを仕舞って真面目にやらんかい!!」


 完全に正論で何もいえない。だがここで負ける訳にはいかない。


「そうか、じゃあこれは捨てるしかないな。残念…だ!!」


 そういい俺は牛の骨を目の前に放り投げる。師匠は真剣な表情を作り棒を構える。

 これは失敗だったかな…?

 こちらも灰棒を構える。


 師匠は突きの体勢のままこちらに駆け出してきた。体勢は低く、犬が駆ける姿を彷彿とさせる。だが見た目通りかなりの速さだ。迎撃のためにこちらも身構える。

 骨はその間にも地面に届きそうだ。


 そして師匠はそのままこちらに一撃を繰り出してくる…ように思われたが、そのまま地面に落ちる寸前の骨を見事に口でキャッチする。


 そして自分が何をしてしまったのか気づいたようで、ハッとした表情と共に体が硬直した。


 その隙を確認した俺は、先ほどよりも強く身体操作の魔術をかける。今の俺が制御できる最大までだ。



「なっ!?」


 師匠が驚きの声を上げると共に俺は灰棒を目の前に突きつける。

 勝ったぜ…



「ふふふ、一本取ったな…」

「ぐぬぬ…」


 師匠は悔しそうにこちらを見ている。さらに、喉をグルグルと鳴らして不機嫌そうだ。





「…なるほど、なるほど。そうくるんか。そうやなぁ、俺も一度本気見せとこか…」


 師匠は噛んでいた骨をガリッ、ボリッという音を立てながら砕いて飲み込んだ。

 …それ生骨だから硬いはずなんだけどなぁ。

 

 そしてニッコリ笑いながらこう告げるのだった。



「楽に死ねると思いわんといてな?」

「…お手柔らかに?」




 このようなこともあり、俺は師匠をからかうのはほどほどにしておこうと肝に銘じたのだった。

 近接戦闘中というか、動きながら魔術を使う技術は難易度高いです。

 地味にタロウ師匠は魔術にも長けた犬なのです!

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