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俺だって分かってる

作者: 月口 夕田

 どうにもならない事だってのはどの人だって知ってるし俺も知ってた筈だ。だが、続けていく内に俺でもどうにかなるんじゃないかと少し、考えていたみたいだ。

 久しぶりに自覚した時にはもう遅かった。

 俺は涙を流した。

 別にまだ続ければいい話なのかも知れない。だが、こうも見せつけられると俺だって辞めたくなってしまう。

 才能だ。世の中才能なんてなくても行ける、だとか喋ってる作品はあるが、結局最終的にあるのは才能だ。

 少なくとも俺には多少なりともあるとは思っていた。才能が無くて辞めてる人はたくさん見かけた。今でも教室では才能がないなりに頑張ってやってる人を見つける。

 それを考えれば確かに自分は才能があるのかも知れない。

 俺よりも前から始めてる人はこの教室にはたくさん居るし、なんなら俺より上手い人は普通に居る。

 俺より一歳だけ年下なら山本は、俺よりも五年ぐらいずっとやってる。そいつはやっぱり上手いし、俺も憧れてる。

 俺も山本と同じ所まで進めるようにはなったが、未だ勝てるビジョンが浮かばない。

 山本は結構面白い性格をしているが、基本的にはどの人にも優しくて、教室のチビッ子からは普通に良い感情を持たれている。

 俺も、普通に話すが、やっぱり山本と比べられて話される。チビッ子は正直だから、「山本君より下手だねー」と正直な事を言ってくれる。悔しい。

 俺も山本には良く嫉妬はする。変に俺より上の人達とは違い、同じ土俵、近い年齢、他の人に比べたら仲が良い、色々と揃っているが、まぁ嫉妬ぐらいは良いだろうぐらいの仲だ。

 正直五年もあれば基礎が違うと思って多少は諦めてる所がある。



 そんな時期に二年前から新たな人が入ってきた。俺と同じ年齢の似たような身長の川崎だ。

 川崎は元々他の事をしていて、基礎もだいぶ出来ていて、最初から理解力もあって、何より才能が合った。

 周りからしたらそれこそ雀の涙見たいな違いなのかも知れない。だが、俺からしたらその雀の涙が何か、重大な壁に感じた。

 それを理解したのは一年前からだ。時々、教室のパーティとかで一緒に踊ることがあった。だいぶ上達していたので俺とか山本と一緒に踊るようになったのだ。

 不意に周りの声援に声を傾けた。

「山本」「山本」「山本」「山本」「山本」

 山本はやはり多かった。

「松山」「松山」「松山」

 俺だ。

「川崎」「川崎」「川崎」「川崎」

 そして川崎だ。

 割合で言ったらこんな感じだったが、俺はそんな結果に不意に不安を感じた。躍りには決して何も見せなかったが。

 多少は新人補正と言うものがあるのかもしれないと思い、深くは考えないようにしていたが、今考えればそういう前兆だったのかも知れない。



 そして現在。大きな大会があった。

 教室からは俺と山本と川崎が同じ競技で、他は上の先輩が各々の競技に出た見たいな感じだったと思う。


 決勝まで勝ち上がった。俺と山本はオールチェックで、川崎は一個落としたと言った感じで、無事皆残れた。

 決勝はだいぶ上手く行ったと思う。普段の力の二倍とまではいかないが、1.2倍は引き出せたと思う。

 結果の発表で俺は声が出なかった。

 一位 山本 岩崎ペア

 順当だ、だろうと思ってたし会場の雰囲気からしてもそうだと思ってた。

 二位 川崎 畠山ペア





 は?なんで?上手く行ったのに?周りの反応も似たような感じだったが、不意に知らない人から漏れた言葉が

「なんか松山って川崎に比べてなんて言ったら良いのかな、オーラが無いんだよね。上手さで言ったら松山の方が上だったけど、意外だったねー.........」

 そんな言葉に耳を傾けてると


 三位 松山 熊井ペア

 拍車が鳴る。俺は心をなるべく平穏にして表彰台まで向かった。








 その後の事は何も覚えてない、やっと意識が戻ったのは家に帰って来てからだ。

 そして俺は風呂に入り、変に何も見ることの出来ない空間では、物事を考えることしか出来なくなり、今回の事を思い浮かべる。

 そして俺は泣いた。

 まだ二年しかやってない川崎に負けた。相手のパートナーが上手かったのかも知れないがそんなんじゃ、勝率は変わらない。俺のパートナーと似たような実力だからだ。

 結局、知らない人の台詞が頭の中に残り。俺は小さい声で「結局才能かよ」と呟いた





 そして、俺は今息子に酒を飲みながらこう教えてる。


「結局は才能だからな。確かにお前だって分かってるだろうが、これだけは覚えておけ」


 息子は「俺だって知ってるよー」と軽く言ってるが、将来思いしるかもしれないな。おれの息子だしな。


この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。


と書いて起きます。

多少は作者の実体験から基づいた小説です。

主人公のや出てきた人達の名前も全部適当なんで悪しからず。


今回は競技ダンスと言うのは、社交ダンスとは違い、社交を目的とした物ではなく、どっちかと言うと勝負を目的とした物です。

作者はそう考えてやっています。

今回では、才能に負けた、と書きましたが。実際は基礎運動や、体の柔らかさ、重心の動かしかた等、様々な物が要求されるため、才能だけでなくどれくらい長くやってるかでだいぶ変わります。

川崎は、バレエ等の、体を美しく見せる競技を元からやっていた等の事があれば今回のような事も出来たのではないかと勝手に妄想。


ぐだぐだと続けて申し訳ございませんでした。

是非とも、評価、レビュー等してくれると深夜テンションで書いたこの小説の気分が晴れます。

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