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#48 平穏とは案外簡単に消えるのデス

ほのぼのメインだけど、たまにはね‥‥‥

SIDE 異世界転移若返り自己中おっさん


「‥‥‥ぐぅっ!!なんか腰が痛いな」


 そのおっさん…‥‥元はこの世界の者ではなく、偶然召喚され、薬で若返っていたおっさんは、そう呻きながらつぶやいた。


 数日前までは、まだ体は絶好調で有り、容易くモンスターたちを薙ぎ払えた。



 だが、その数日前から徐々に体の不調を感じ始めたのである。


 最初は精々、肩が凝っているだけかと思っていたのだが、今ではなぜか節々の痛み、目の疲れ、歯の痛みが出てきたのである。


 その痛みなどを忘れるために、各都市などに遭った娼館に通って発散していたのだが‥‥‥あいにくながらこの都市にはそのようなモノはなかった。


 いや、以前はあったそうだが、健全化のために撤去されたらしい。



「くそう!!もやもやとするし、なんでだぁぁぁ!!」


 そう叫びながらも、まだそのおっさんの不幸は終わっていなかった。


 冒険者登録をしていたので、冒険者ギルドへ向かったのだが、この都市のギルドは休業していた。


 なんでもギルド長がやらかして、現在新たなギルド長の選定などで、ごたごたしているそうなのだが‥‥‥ギルドの受付嬢などは見麗しい人が多いので、それらが見れないことにおっさんはいら立ちを募らせる。


 何かで晴らしたいが、そう簡単に晴らせるものを見つけることができない。


 そう考え、この際都市を一旦出て、周囲で狩りを行うことに決めた。


「はん!!こういう時は憂さ晴らしに狩りをすればいいんだよ!!」


 そう叫び、彼らは目についたモンスターたちを狩りまくる。


 火葬などもせず、処分もしっかりせず、切り捨ててはただその場に放置という事をして……






 時間が立ち、日がいつの間にか落ちてきていた。


「ちっ、そろそろ乗って来たのだが…‥‥ん?」


 十分憂さ晴らしもできたが、まだ足りないような感じもしたのでおっさんはそうつぶやき……ふと、あるモノが目に入った。


 地平線から、何かが彼めがけてやってきていることを。


 それはまるで、大きな黒い物体……うごうごと蠢くおぞましい物体であった。


「な、なんだあれは!?」


 一体なんであるのかは、良く分からない。


 ただ一つ言える事とすれば、全身に鳥肌が立ち、非常に不味いものであるという感がある事だろう。



「に、逃げねば……」


 あまりのおぞましさに恐怖を覚え、おっさんは都市へめがけて走り出す。


 あそこまで逃げれば、まだ何とかなると思いながら。


 後ろを振り返らず、ただ必死に逃げるのだが…‥‥


【ジャ…‥‥ゲジャゴギャギャジャァァァァァァス!!】

「ひぃぃぃぃ!?」


 後方から、おぞましすぎる雄たけびが聞こえ、おっさんは一心不乱に走り抜ける。


 


 都市の出入り口に近づいたら、ちょうどその存在に気が付いたのか、都市の方でも騒がしくなった。


「な、なんだあれは!?」

「化け物が強襲してくるぞぉぉおぉぉ!!」

「急げぇ!!迎撃態勢!!」


 衛兵たちが集まってきたようで、もしかすると助かるかもしれない。



 希望が見え…‥‥そして、気が緩んでしまった。


ガッ!!

「ぐはっ!?」


 足が躓き、おっさんはその場に盛大にすっころぶ。


 慌てて立ち上がろうとして‥‥‥おっさんは熱さを感じた。


 そして、後方を振り向けば…‥‥そこには、多くの動物やモンスターや人間などの顔があり…‥‥そこで意識が途切れたのであった。



―――――――――――――――――――

SIDEシアン



「‥‥‥ふぅ、今日はもう疲れたなぁ」

【想像以上の人の多さでしたもんね】


 夕暮頃になり、魔法ギルドで僕らは本日の依頼達成報酬を受け取っていた。


 たかが店での人の呼び込み、されど呼び込み…‥‥甘く見ていたのかもしれない。


 思った以上の人の多さに、僕らは疲労していた。なんだよあの人数は‥‥‥



「ご主人様こちらをどうぞ。ドーラの蜜を薄めた疲労回復用に調合している栄養剤デス。ついでにハクロさんもデス」

「あ、ちょうどよかったよワゼ」

【私はついでですか‥‥‥まぁ、良いですよ】


 ワゼがドーラの蜜を薄め、作り上げたらしい栄養剤を僕らは飲んだ。


「んー、おいしいけれど、できればあとちょっと酸味が欲しいかな?」

「そうですカ。では、次回はもう少し酸味を加えましょウ」

【私の意見は?】

「いらないデス」

【はっきり言われると‥‥‥ちょっと傷つきますね】


 その回答に、ハクロはがっくりと肩を下ろす。


 まぁ、いつも通りの二人だし別に良いかな。


 ちょっと苦笑していた……その時であった。



ズッガァァァァン!!

「「【!?】」」



 突然、何かが爆発したような、いや、衝突したかのような爆音が鳴り響いた。


「なんだ!?」

【何が起きたのでしょうか!?】


 周囲の人々も驚愕の表情となり、混乱しているさなか、ワゼだけが冷静な表情でその音が鳴った方向を見ていた。



「‥‥‥何やら非常に面倒なことになったようデス」


 そう言ってワゼが見ている方向を見れば‥‥‥そこは黒い煙が立ちのぼっていた。


 言われなくても分かる。


 これは、非常に物凄い面倒事が起きた証のような物であると‥‥‥‥ 



突然鳴り響いた爆音、立ち昇る黒煙。

平穏は敗れ、何かが襲来する。

果たしてそれに、対抗するすべはあるのだろうか!!

次回に続く!


……と言うか、これって押しつけられたような物でもあるよな。

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