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犬女ちゃんと海水浴(5)

そろそろ上がって、

お嬢様の別荘に帰ろうかとなったとき、

さっきまでその辺にいた犬女ちゃんが

いないことにみなが気づいた。


みなで犬女ちゃんを探していたら、

夏希が、浮き輪をつけて、

沖に流されている犬女ちゃんを発見する。


泳げないため、これまで

あまり海に入ろうとしなかった犬女ちゃんが、

よりによってなぜ一人で海に入っていたのか。

それはわからなかったが、

このまま流されてしまっては

危険なのは間違いなかった。



純心が救出に向かおうとしたそのとき、

なぜか高台に登っていた母が、

そこから海に飛び込んだ。


高飛び込みのような美しい姿勢で、

海中に吸い込まれて行く母。


純心は心配した。


一同は固唾を飲んで見守る。


水に飛び込んだ母は、

あっという間に、

犬女ちゃんの元に辿り着き、

難無く犬女ちゃんを救出した。


一同からは歓声と拍手が起こる。


水面には母の紐同然の水着が

ぷかぷか浮いている。


『あぁ、やっぱり』


純心が心配していたのは、水着だった。


母自身は、小さい頃、漁村の近くで、

毎日半魚人のように泳ぎまくっていた人だから、

心配には及ばないことはわかっていた。


ただ、あの勢いで水に飛び込んだら、

どう考えても、あの紐のような水着は

脱げるだろうと心配していたのだ。




太陽が水平線に沈み、

茜色に染まる海。


水面が煌びやかに光輝き、

黄昏に包まれる中、

水しぶきを上げながら、

陸に上がって来る全裸の母。


その身に纏う水滴が、

夕陽を反射させて、光を放つ。


とにかく無駄にかっこいい

シチュエーションに純心は吹き出した。


助けられた犬女ちゃんは、

お母さんに抱き着いて、

必死に大事なところを隠していた。


顔と頭で、お母さんの胸の辺りを覆い、

脚はお母さんの腰に巻き付け、

お母さんの大事なところは、

必死に尻尾を動かして隠している。


まるで犬女ちゃんの

聖衣を纏っているようにも見える。


シャイニング全裸熟女 with 犬女ちゃん。


犬女ちゃん、グッジョブ!

犬女ちゃんが必死に

大事なところを隠そうとする、

その健気さに、純心は

涙せずにはいられない。



純心が母の愚行を嘆く一方で、

他のみなはその雰囲気に飲まれ、

なぜか感動していた。


「なんだかとっても神々しいですわ、

まるで絵画の『ビーナスの誕生』のような光景ですわ」


『それ、絶対違うからな!』


「さすが、おばさん、かっこいいー

あたしもおばさんみたいになりたいー」


『それ、絶対なったらダメなやつだからな!』


夏希につられて幼女達も歓声を送る。


「おばさん、すごーい!」

「おばさん、かっこいいー!」


『よ、よい子はまねしちゃだめだよー』


「まるで、ラノベの女主人公ではないですか!」


「野生溢れる美しさが、私の心を魅了しましてよ」


『うん、もうお前ら好きにしろ』


純心もツッコミが

面倒臭くなってしまったようだ。



せっかくみなで来た海水浴であったが、

純心的には、母の水着にはじまり、

母の水着に終わった一日だった。





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