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犬女ちゃんと三馬鹿トリオ(1)

夏季講習で純心は、

高校の友達、三馬鹿トリオに会った。


「いやぁ、純心殿、

退学にならなくてよかったですな」

理屈っぽくて仕切りたがり屋のメガネ。


「冷や冷やどきどきだったんだよね」

毎日幼い妹達の面倒を見ているジャガイモ。

今日は親戚の人に妹達の世話を頼んで来たらしい。


「こんなところで再開出来るとは

喜びもひとしおですぞ」

アイドルの追っかけ、ドルオタ。


学校中にあやしいビラをばら撒かれた騒動のときも、

こいつらは、おろおろしてはいたが、

自分達に悪意を向けて来ることはなかった。

やはり悪い奴らではない。と純心は思う。


-


「改めて、純心殿にご相談なのですが、な」


メガネが改まって何か言って来る。

純心には嫌な予感しかしなかった。


「後生でございますから、

あの可愛らしい犬女様の、

あの大きなおっぱいを、

一度だけでいいので触らせては

もらえませんでしょうか、な?」


メガネは、恥も外聞もない、

男子高校生らしいお願いを

ストレートに土下座して頼んで来た。


『やっぱりか』


こいつら悪い奴ではないのだが、

いかんせんムッツリスケベ過ぎる。


こんな悪ふざけの冗談なのか、

本気なのかわからない、

男子高校生らしいやり取りは

いつものことだった。



純心も三馬鹿のこういうノリの返しには

さすがに慣れて来ていた。


「メガネよ、

お前のお姉さんが、

おっぱいのデカイ、巨乳ちゃんだからと言って、

俺がお前に揉ませてくれと土下座したら、

お前は揉ませてくれるのか?

お姉さんのおっぱいを!」


純心の言葉にメガネは言葉を詰まらせた。


「俺にとっては犬女ちゃんは、兄弟も同然。

お前が言っていることは、

そういうことなのだぞ、メガネよ。」


メガネは純心に泣いて謝る。


「純心殿、すまなかったな!

これは我が輩が全面的に悪かったですな!」


「わかってくれるか、我が友よー」


「純心殿っー」


純真とメガネは抱き合って泣いた。

この無駄にテンションが高い、

わけのわからない会話が

結構日常茶飯事であった。


-


「いや、冗談はさておいて、

犬女ちゃんに一回じっくりお会いしたいですぞ」


メガネが冗談のつもりだったのか、

本気だったのかはわからないが、

ドルオタが会ってみたいと言い出した。


「そうだね、純くん家にも

一度お邪魔してみたいもんだよね」


ジャガイモも家に来たいと言い出した。


-


純心は思案した。

普段であれば、このような危ない輩を、

自分と犬女ちゃん二人の愛の居城に

入れるなど有り得ないことだが、

幸い今は母親が家にいる。

変なことにもなるまい。


それに一応母親にも、

自分に男友達がいると

いうところも見せてはおきたい。

このままでは女子しか

友達がいないと思われる。


自分も今後の人との関わり方について、

改善していかなくてはなるまいと

思っていたところだし。


いろいろな要素を考えると、

家に招くのであれば、

今が最適な機会なのではないかと。


-


純心は夏期講習の帰りに、

三馬鹿トリオを家に招いた。


しかし、純心はあることを思い出した。

犬女ちゃんが最初

どう反応するかについてである。


夏希もお嬢様も、犬女ちゃんに

股間の匂いを嗅がれたことがあると言う。


生徒会長はこの間、いきなりキスをされていた。


もしも、犬女ちゃんの

その癖が治っていなかったら、

犬女ちゃんのあの可愛い顔が、

こんな臭そうな

男子高校生の股間の匂いを

嗅ぎ回ってしまうではないか。


最悪の場合、こいつらにいきなり

キスをしてしまう可能性すらあるではないか。


そんな犬女ちゃんの姿は見たくない!

そんな犬女ちゃんの姿を見ても、

自分は今まで通り犬女ちゃんを

愛せるというのか?

こいつらの股間を嗅ぎ回って、

汚れてしまった犬女ちゃんを。


ここはなんとしても、

そうした事態は阻止しなければならぬ。

断固として!


そう決意して純心が玄関のドアを開けると、

三馬鹿トリオは犬女ちゃんに

めちゃめちゃ吠えまくられていた。

完全にあやしい不審者だと思い込まれていた。


『ここまで酷い対応される奴、

はじめて見たわぁ』


ちょっと三馬鹿トリオに

同情してしまう純心であった。





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