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犬女ちゃんとお墓参り

純心と犬女ちゃんは、

亡きおばあちゃんの墓前に立っていた。


純心の母親が帰国している間に、

おばあちゃんのお墓参りに行こう

ということになったのだ。


母親がおばあちゃんのお墓に生花を供えると、

順番に、お墓に水をかけて、お線香を供えた。


手でお線香を持てない犬女ちゃんは、

純心の母親が代わりに持ってあげて、

形だけ真似をした。


前回、お葬式のときに来てから

わずか四か月弱しか経っていないのだが、

その間にいろんなことがあったため、

随分と前のような気がする。


犬女ちゃんはこのお墓の下に

おばあちゃんが眠っていることを

わかっているのだろうか。


前回お葬式のときも参列していたので、

それなりに何かしら感じてはいるだろうが。


お通夜のときも、

お葬式のときも、

おばあちゃんのそばを

いつまでもずっと

離れようとはしなかった。


焼かれて骨になってから、

このお墓の下に入るまで、

犬女ちゃんはおばあちゃんだと

わかっていたのだろうか。

何を思っていたのだろうか。




本来であれば、お盆の時期にでも

行ったほうが良さそうなものでもあるが、

今は亡き純心の本当の父親が、

生前いろいろと問題を起こしていたため、

母親も父方の親戚と

上手くいっていたとは言えず、

時期をずらしてお墓参りだけでも

行こうということになっていた。


母からすれば、離婚をしているわけで、

今はすでに親戚でもなんでもないと言えば

そうなのだから、仕方ないことでもある。


父方の親戚筋の間でも、

純心の亡き父がすぐに怒って暴れる人であったため、

当時おばあちゃんの家に近寄る人は誰もおらず、

本人が自殺するまでの約十年間のことは、

何も知らない親戚がほとんどである。

そして親戚の間でも黒歴史として、

触れないことが暗黙の了解となっている。


その十年の間に犬女ちゃんが

一緒に暮らしていたことを、

知っている者もほぼいない。

みなおばあちゃんが独りぼっちになってから、

引き取ったと思っている。




「お墓参りのついでに、

おばあちゃんの家に行って来たらいい。

すぐそこだしね。」


墓地の駐車場で車に乗ろうとすると、

純心母は、純心と犬女ちゃんにそう勧めた。


「まだ相続の問題で揉めているようだけどね。

近い内におばあちゃんの家も、

取り壊されてしまうだろうから、

その前に二人でもう一度、

行って来たらいいさ。」


そう言って、親戚から預かっていたらしい、

おばあちゃん家の鍵を純心に渡した。


「私はこの近辺で時間を潰して、

また後で迎えに来てやるから。」


おそらく母は、

昔のことを思い出したくなく、

おばあちゃんの家には

行きたくないのだろうと純心は察した。


もし自分も当時のことを覚えていたら、

おばあちゃんの家に

寄りつけるかどうか、自信がない。



墓地の駐車場から、おばあちゃんの家まで、

純心と犬女ちゃんは、歩いて行った。






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