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犬女ちゃんと『ファーストキスの会』(1)

純心が夏休みで、

毎日一日中、一緒にいられて

犬女ちゃんはすごく嬉しかった。


以前と違って、

好きな時間にお散歩に

行けるようになったし、

買い物とかのお出掛けにだって、

一緒に行けるようになった。

いろんなところに行けるようになった。


犬女ちゃんにとっては、

今までよりもさらに

新しい世界が開けたのだ。


純心は喜ぶ犬女ちゃんの姿を見て、

いつか犬女ちゃんが一人でも、

外を自由に出歩ける、

そんな社会になればいいと思っていた。




犬女ちゃんは、

キスがえらく気に入ってしまったらしく

頻繁にキスをおねだりするようになっていた。


目を閉じて、可愛らしい唇を

突き出してくる姿は、とても愛くるしい。


「い、犬女、さん?

そりゃ、確かに思いっきりキスしちゃいましたが、

それはその、勢いというか、

再会を喜ぶあまり、キスしたわけで」


普段はまだ『犬女ちゃん』と呼ぶのは照れがある。


「毎日、一緒に暮らしているのに、

しょっちゅうキスしているというのも

どうかと思うわけで、

俺まだ高校生ですしー」


言葉が通じない犬女ちゃんに必死で説明する純心。


確かに、見た目美少女の犬女ちゃんと、

毎日毎日しょっちゅうチュッチュッしていたら、

いつ子供ができてもおかしくないことになってしまう。

純心の判断は賢明と言えるだろう。




生徒会長が、普段犬女ちゃんの世話を

どうしているのか、見に来るということで、

その日は、夏希もお嬢様も、

純心の家にやって来ていた。


純心母は仕事で家を空けている。

なんでも日本で開催される

学界に参加するらしい。



「ちょ、ちょっと純心!

あんた犬女ちゃんになんかしたでしょ!?」


料理をしている純心に、

夏希が大声で呼びかけた。


純心が手を止めて見に行くと、

犬女ちゃんが夏希達に、

キスのおねだりをしていた。


目を閉じて、可愛らしい唇を

ツンと突き出している犬女ちゃん。


「い、いやぁ、再会を果たしたときに、

喜びのあまり、犬女さんにファーストキスを

奪われてしまいまして。」


「い、いやほらあれだ。

お前たちが飼い犬にキスするみたいなもの。

そ、そうそう、それそれ」


純心はしどろもどろで、

顔を赤くして照れながら、言い訳した。



「なんだかちょっと、ショックですわ…

私もキスしそうになりましたのに…」


お嬢様は小声でボソッと呟いた。

キス未遂をお嬢様も忘れていたわけではなかった。

すっ呆けていただけだった。


その呟きを夏希は聞き逃さなかった。


「えー!なにそれ!

遥ちゃんも純心とキスしそうになってるじゃん!」


「な、なんで、あたしだけ何もないのー?」


夏希は頬っぺたをぷくっと

膨らませて不貞腐れた。


最初に犬女ちゃんの真似をしたときも、

早々に犬女ちゃんに邪魔され、

キス未遂までも行っていなかった。


「いや、小さい頃、キスぐらい、

しそうになったことあるだろ」


純心は夏希をなだめる。


「ないない、絶対ない。

いっつも兄弟扱いだもん。

小さい犬女ちゃんと間違えてるんじゃないの?」


小さい犬女ちゃんと小さい夏希の

記憶すり替わりの件は、

自分達でネタに出来るぐらいには、

二人ともそれぞれ消化出来ていた。



「あたしも未遂でいいから、

してみたいー」


駄々をこねる夏希に、犬女ちゃんが近づいた。


夏希の唇を、掌で軽くとんとんと叩くと、

おでこをくっつけって、目を閉じ、

夏希の唇に唇を重ねた。


「!」


夏希は顔を真っ赤にする。


「ちょ、ちょっと、なに今の、儀式みたいな段取りー

妙にリアルなんですけどー」


「あたしもファーストキス、犬女ちゃんに奪われたー」


夏希は笑った。




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