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犬女ちゃんとサバイバル

深い山奥で犬女ちゃんが目覚めたとき、

どこにも純心の姿はなかった。


犬女ちゃんは純心が、どこかで

死んでしまったのではないかと

心配で、不安で仕方なかった。


匂いを辿って、純心を探す犬女ちゃん。

すでに日が沈みはじめており、

山々が美しい茜色に染まっている。


純心が歩いただろう道を辿り、

ときには自分が崖から落ちそうになりながら。


純心の匂いがする周辺をくまなく探したが、

その姿は見当たらなかった。


匂いを辿って行くと、

いつの間にか終着駅の方に向かっていた。


純心がここで死なないで帰ったであろうことに、

まずは安堵する犬女ちゃん。


知らない深い山奥に置き去りにされて、

以前夏希の家に預けられたときより、

はるかに捨てられたと言っていいこの状況で、

まずは純心が無事に生きていてくれればそれでいい、

犬女ちゃんはそう思っていた。



犬女ちゃんが、この知らない深い山奥から、

帰ることは相当困難なことだった。

だが犬女ちゃんには

純心の元に帰る以外の選択肢はなかった。



犬女ちゃんはひたすら走り続けた。

純心の元に帰るために。

匂いと帰巣本能と、

来た時に見た風景の記憶を頼りにして。



人の目に触れると、

何をされるかわからないので、

走りづらいが、仕方なく

日中は山道や獣道を通った。


犬女ちゃんは今、誰にも飼われていない、

野良犬女ちゃんである。


野良犬女にとっては、人間こそが天敵。

保健所に通報され、

捕まって連れて行かれれば、

殺処分されてしまうかもしれない。

野良犬女の数がどんどん減っているのも、

保健所が野良犬女狩りに力を入れているためだ。

もし運良く、誰か貰い手が見つかったとしても、

変態おやじの玩具にされるのが落ちだ。


山道や獣道にも、犬女にとって

危険な野生動物はたくさんいる。

熊はもちろん、猪や鹿も非力な犬女には危険だった。


野良犬は犬女を見かけると、

しつこく追い回し、襲い掛かって来るし、

そのまま嚙み殺されてしまうこともあった。



おばあちゃんに大切に育てられた犬女ちゃんにとって、

サバイバル生活はこの上なく厳しいものだった。

犬女ちゃんが、気を失っていた間、

無事だったのも幸運だったと言っていいかもしれない。



野生動物を捕まえて食べることが出来ない犬女ちゃんは、

お腹が空いて、どうしようもなくなると、

夜人里に降りて、畑の作物を盗んで食べた。


おばあちゃんからは、

他人の物を盗んだり、食べてはいけないと、

厳しく躾けられていて、

今まで一度もそんなことをしたことはなかったが、

犬女ちゃんが、生きて行くためには仕方なかった。

盗み食いをしているところを人間に見つかって、

追い回されることもあった。



野生動物や人間を警戒して、

ロクに眠ることも出来ず、

獣道で足を痛め、傷つき、

ボロボロになる犬女ちゃん。


人間に追い回され、

野良犬に服を噛み千切られそうになったり、

山道を転げ落ち、どろどろになったり。


それでも犬女ちゃんはひたすら走り続けた。

純心の元に帰るために。


しかし、お腹が空いて、

人里まで降りて来たとき、

ついに力尽きて倒れる。


犬女ちゃんは、人家の前に、行き倒れていた。

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