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犬女ちゃんと純心の闇(2)

副会長のルイは

自らの思惑通りにことを進めた。


「まぁ、これだけ、学校中が

大騒ぎになってしまったのですから。

私達だけで問題解決というわけには

いきませんでしょう?」


「純心さんが、弁明をするなら、

全校生徒の前でしてもらう

必要があると思うんですよね。

これだけの大騒ぎを

引き起こしたわけですから。」


「そうそう、

そのときは、是非この犬女さんも

連れて来ていただきませんとね。」


それは、全校生徒の前で吊るし上げられる

公開処刑に他ならなかった。

副会長のルイははじめからそれが狙いだった。


全校生徒の前で

犬女ちゃんを晒しものにして、

純心ともども公開処刑する、

その祭りを実現するために、

ずっと画策していたのだ。


純心の家を見張らせたのも、

盗撮させて、学校中に

ビラをばら撒かせたのも、

それを仕組んだ黒幕はルイだった。


自分の仕業だとばれないように、

学校の人間を使わないで、

ちゃんとその道の専門家に依頼していた。

用意周到に。


生徒会長の遠縁だけあって、

ルイの家も裕福であり、

ルイは、学生には不相応な

大金を自由に出来たし、

家の使用人などを自由に

手伝わせることも出来た。



生徒会長はプライドが高く、

見栄っ張りだが、

悪い人間というわけではない。

学校と生徒会に対する、

使命感や責任感が、

ちょっと間違った方向に

暴走してしまっているだけで。



だが、根本的に底意地が悪いルイは、

はるかに質が悪い存在だった。

ルイは人の悪意が大好きだった。


誰かが落とした物を、

拾ってあげた善意ある人がいた場合、

「拾ってくれてありがとう」というのが普通の人だが、

「他人のものに勝手に触るな」とか、

「他人のものを盗もうとした」とか、

人の善意すらも悪意を持ってしか

見られない人が稀にいる。


悪意は犯罪などではないし、それ故に質が悪い。

どれだけ人を傷つけようと、罪にはならない。


ルイは常に人を悪意に導こうとし、

人に、善意を悪意と勘違いさせて、

その混沌を楽しみにしているような女だ。



当然、純心は反論を繰り返した。

そんなことになればどうなるかは

容易に想像が出来た。


これにはさすがに生徒会長も難色を示していた。

これ以上騒ぎを大きくすることに意味はないし、

生徒を正しく導くのが、本来の生徒会の役目であると。


しかし、副会長のルイと、

他の生徒会メンバーは、

全校生徒の見ているところで、

白黒をつけるべきだと押し通した。


他の生徒会メンバーも

面白がってルイに同調したのだ。


「犬女さんを学校に連れて来て

いただくのも大変でしょうから、

当日はうちの運転手を迎えに行かせますね。」


「犬女さんにお会い出来るのが

楽しみですね、みなさん」

ルイはいじわるそうな笑みを浮かべる。


純心の頭の痛みがおさまることはなかった。

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