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犬女ちゃんとルージュ(1)

犬女ちゃんが前回髪を切ってから、

すでに一か月以上が経っていた。


「お前、髪伸びるの早いな」


犬女ちゃんは、純心の足元に

すり寄って甘える。


「スケベは髪伸びるの早いっていうけど、

お前スケベなのか?」


「純心は、なんで女の子に向かって

そういうこと言うかなあ」

純心の心ない発言に夏希は怒った。


「純心さん、酷いですわ、

それはセクハラですわ」

非難するお嬢様。

スケベもセクハラも意味がわかるのに、

なぜそれ以外のことは知らないのか。


その日は、夏希もお嬢様も

たまたま純心の家に来ていた。


「まぁ、今回は私に任せてよ」

「犬女のカットも上手い美容師さんを

見つけたんだから」

夏希は自信を持ってそう言った。



夏希は美容室に予約を入れると、

後日、おばさんの車で犬女ちゃんを

美容室に連れて行ってくれた。


戻ってくると、犬女ちゃんは

見違えるぐらいに可愛くなっていた。


もともとすごく可愛いのだが、

それは天然、ナチュラルな

可愛いらしさであって、

美容室から戻って来た犬女ちゃんは、

バッチリ決めましたという可愛らしさだ。



髪もちゃんとセットされて、

女子力が飛躍的に上がっているというか、

カジュアルなときと、本気で気合入れて

デートに行くときのような違いだ。



「まぁ、すごい可愛らしい!

まるで女優さんみたいですね」

お嬢様も可愛くなった犬女ちゃんを見に、

純心の家に来ていた。


「でしょー」

夏希がドヤ顔で胸を張った。


「眉毛もカットしてもらったんですね」

人間眉毛を変えるだけで、

随分と印象が変わるものだな、

と純心は思う。

人間ではなくて犬女ではあるが。


犬女ちゃんもみんなに

可愛い可愛いとチヤホヤされて、

嬉しそうに尻尾を振っている。



犬女ちゃんの唇が乾いていることに

気づいた夏希は、

犬女ちゃんの口にリップを塗ってあげる。


それを見ていた純心は思った。

ああ、夏希はそういうのが平気な人なのだと。

自分のリップを、家族以外の他の人と

共有するのは抵抗がある人もいるだろう。

犬女ちゃんだからかもしれないが。


夏希は犬を飼っているから、

飼い犬とキスするのも平気だ。

お嬢様も獣医を目指しているぐらいだから、

おそらくは平気だろう。

二人は犬女ちゃんとキスも出来るだろう。


純心はというと、

犬女ちゃんを女の子と思えば、

むしろキスしたくなるぐらいの美少女だ。

だが犬だと考えると、

逆にキス出来るかは微妙だった。

どちらとも言えない複雑なところだ。



「そうだ、犬女ちゃんに

お化粧してみようよ」

夏希は犬女ちゃんをさらに可愛くするには

どうすればいいかを考えていた。


犬女ちゃんをお人形さんのように、

着せ替えさせたりするのはもはや恒例だ。

女児を持つ親が、娘にいろいろ

可愛い衣装を着せて喜ぶのと同レベルだ。

犬女ちゃんも喜んでいるので、

問題はなさそうだが。


「でも犬女さんは、

お肌ピチピチ、つるつるで綺麗ですし、

眉毛もカットしてもらったばかりですし。」


「じゃあ口紅だけでもどうかな?」


そう言うと夏希は自分の家から、

自分のとおばさんの口紅を取って来た。

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