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犬女ちゃんと走る女(1)

夏希は、

高校の陸上部で出場する

陸上競技大会の地区予選に向けて、

はりきっていた。


しかし、春休み中に

改修が終わるはずだった

学校のメイングランドは、

悪天候が続いた影響などもあり、

現在もまだ改修中である。


現在は、各運動部が、

空いているグランドなどを

交代で使って活動していたが、

場所を確保出来ない場合は、

筋トレメニューの室内練だけ

になったりもしていた。



そういうとき、夏希は、

犬女ちゃんと一緒に、

川沿いの土手を走っていた。


犬女ちゃんも、

純心と朝散歩には行っているものの、

本来であれば一日中外を

走り回っていたいタイプである。


おばあちゃんと一緒に暮していたときは、

おばあちゃん家の広い庭を一日中、

走り回っていることもあった。


そういう意味では、

純心が言う通りに、

体育会女子同士、気が合うし、

どこか似ているのかもしれなかった。

野生的な肉食女子ということかもしれないが。



二人で走って、

汗をかいた後は、

純心の家に帰って、

一緒に風呂に入り、汗を流す。

風呂上りには、全裸姿に

首からタオルをぶら下げて

牛乳を飲む。


なかなか男前な二人であった。


二人ともショートカットなこともあって、

美形兄弟のように見えなくもなかった。



実際に、夏希が犬女ちゃんを構ってくれるので、

純心も家事がはかどって助かっていた。

炊事、掃除、洗濯、

犬女ちゃんが来てから純心の家事は増えていた。

しかし犬女ちゃんも相当な

かまってちゃんであるため、

毎日純心が帰って来ると、すぐにじゃれてついて、

なかなか家事が捗らないことが多かった。



「なんで、あれで速いのか

よくわかんないんだよね」

夏希は首をひねりながらいつも言っている。


夏希が言うには犬女ちゃんは、

相当足が速いらしい。


犬だと考えれば、

短距離が速いのは想像に難くない。

長距離はわからないが。


しかし、ほとんど人間の体で、

手足の途中からが

犬の手足になっている

犬女ちゃんが、

四足で走って

自分より速いというのが、

夏希には納得がいかないらしい。

人体構造的におかしいと言うのだ。


それを言ってしまうと

犬女の存在自体がおかしい

ということになるので仕方ない。


一緒に走ると、いつもより、

いい感じで走れるということで、

夏希は犬女ちゃんとの自主練を

かなり気に入っていた。


犬女ちゃんを追い掛けるつもりで走ると、

自然と速く走れるらしいのだ。

いいペースメーカーに

なっているということだろうか。



大会が近づくと、

夏希は毎日のように犬女ちゃんと走った。

朝と晩、部活の練習以外にも。

夜は女の子、二人では危ないので

純心も付き合ってタイムを計ったりした。



汗をかきながら、息を弾ませ、

紅潮している夏希の姿を、

純心はいろんな意味で美しいと思った。


犬女ちゃんも、夏希の汗の匂いは、

結構好きな匂いだった。

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