表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
227/233

犬女ちゃんとバレンタイン(2)

バレンタイン当日。


学校の純心の席、

その机の上はチョコレートで

山積みになっていた。


放課後、

どうやって持って帰ろうかと、

机の上に山積みになっている

チョコレートを眺めながら

純心が思案していると、

犬女ちゃんが口にチョコの箱を咥え、

嬉しそうな笑顔で、

廊下を走って教室に入って来る。


「純心くん、また犬女ちゃん

チョコレートもらって来たわよ」


図書委員の言葉に頭を抱える純心。


そう、

純心の机の上に山積みになっている

チョコレートはすべて

犬女ちゃんがもらって来たのだ。



一方純心は、本日はまだチョコを

ひとつももらっていない。


いつもの女子メンバー達は

この後全員純心の家に

集合することになっているから

そのときに渡す気なのであろう。


そのことを知らない純心は

まだ自分がチョコを

もらっていないのに

犬女ちゃんがこれほど

山のようにチョコを

もらって来ているのに

若干軽くショックを受けている。


昔はバレンタインと言えば

女子が男子にチョコを渡して

愛を告白する日という扱いだったが、

製菓会社が売上を上げるための

陰謀なのか何なのか

よくわからないが、

最近ではすっかり性別関係なく

好きな人にチョコレートを

送る日になってしまった。


とはいえ犬女ちゃんに

チョコレートをくれるのは

男子ばかりではない、

もらったチョコの半分は女子から。


今は義理チョコだの

友チョコだのいろいろあるから、

顔が広い犬女ちゃんは、

いろんなところでいろんな人から

たくさんチョコをもらって来ている

という状況なわけだ。


-


「すごいね、これ

三百個以上あるんじゃない?」


図書委員の言葉に

純心はまたため息を漏らす。


純心が憂鬱になる理由というのは

もちろんホワイトデーのお返しだ。


数もそうなのだが、

これだけあると

もはや誰にもらったのかも

よくわからない。


最初のうちは純心も、

犬女ちゃんが

誰にチョコをもらったのか

義理堅くメモして

リストをつくっていたが、

五十個を超えたぐらいから

すっかり諦めた。


当然犬女ちゃんは喋れないので、

誰にもらったのか

わからないチョコが

山積みの中にはたくさんあった。


「ちゃんとチョコには

学年とクラスと名前を

書いておいて欲しいよな」


純心がそう呟くと、横にいた

図書委員はクスっと笑った。


「チョコひとつにいちいちそんな

個人情報書くわけないじゃない」


チョコにいちいち

学年・クラス・名前を書いて渡すなど

いかにもホワイトデーの

お返し待ってますから

と言わんばかりの自己主張ぶり。

そこまで強欲な人間はいるものか?


例え、

校内で落としてしまっても

間違いなく本人の手元に

戻ってくるだろうし、

拾ったほうも名前を書くぐらいに

チョコが好きならば

なんとしてでも届けてあげなくては

いけないという気にもなるだろう。


もちろんそんな馬鹿なことは

誰もするはずがないのだが、

わかってはいるが

純心からしたら

そう嘆かずにはいられない。


これでは

学校の関係者ほぼ全員に

ホワイトデーのお返しを

配って歩かなくてはならなくなる。


どんなに些細なものでも

数が数百レベルとなれば

それなりの額は行くし。


『さて、本当に

ホワイトデーはどうしたものか』


-


この山のようなチョコを

どうやって持って帰るか

というのも頭が痛い。


さすがに

校内の誰かにもらったチョコを

校内の誰かに配ってまわる

というわけにはいかない。

それはいろいろとデリカシーが

なさ過ぎるというものだ。


あげた本人が

見たら気分が悪いだろうし、

もらってない人からすれば

単に嫌味のようになってしまう。

もしかしたら自分に好意を

持っているのではないかと

あらぬ誤解を招いてしまう

危険性すらある。


そもそも純心は

チョコをくれた人の顔を

知らないのだから、

もし間違って

本人に渡してしまおうものなら

ただ単に返却しに来ただけの

人になってしまい、

それもさすがに気まず過ぎる。


-


日向ひなた先生から

巨大な未使用ゴミ袋をもらって

なんとかそれにチョコを詰めて

持って帰ることには成功したが、

このチョコの山を

一体どうしたらよいのか

という問題もある。


さすがにこの山のような量を

犬女ちゃんがひとりで食べたら

糖尿病にでもなってしまうだろう。


そこでチョコの山は

純心の家に来ていた

いつもの女子メンバー達に

分配されることに。


さすがにいつもの女子メンバー達も

純心にチョコレートを渡しに来て、

その何十倍もの量、

犬女ちゃんがもらったチョコを

持って帰ることになるとは

夢にも思っていなかっただろう。


自分は今までさほど

チョコをもらった経験はないが

毎年チョコをたくさんもらっている

アイドルや芸能人などは

こんな感じなのであろうか

と純心は思う。



そんな純心をよそに犬女ちゃんは

自分がもらったチョコではなく

純心がもらったチョコを

こっそりと食べているのだった。


犬女ちゃん、それはヤキモチなのか?






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ