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犬女ちゃんと女の戦い(4)

夏希とお嬢様の意地の張り合い、

チキンレースはエスカレートしていき、

もはや何がなんだかわからなくなっていた。


だんだんナチュラルハイになって来て、

今や何をやっても可笑しくて仕方がない状態だ。


犬女ちゃんとじゃれ合っていた夏希は、

犬女ちゃんの顔に、猫のヒゲを描いた。


「あはは、犬女ちゃんなのに、猫」

夏希は笑い転げた。

どうやら笑いのツボにはまってしまったようだ。

夏希が笑っているのを見て、

犬女ちゃんも、わけがわからないのに、

喜んでじゃれる。


「猫犬女ちゃんですわね」

お嬢様も夏希のテンションにつられて、

どんどんハイになって来ていた。

二人がじゃれているところに、混ざってじゃれる。



「純心はねー

この間犬女ちゃんの真似してあげたら、

すごい喜んでたんだよねー」


夏希はそう言いながら、

持って来ていたパーティーグッズから、

犬の耳と尻尾を取り出して、

自分の頭とお尻に取り付け、

犬女ちゃんの真似をした。


はじめからパーティーする気だったんですね、

とかツッコミどころがたくさんあるが、

それはこの際置いておくことにして。


犬女ちゃんの真似をして、

四つん這いのポーズで、

お嬢様を見上げる夏希。


「さすがにプライドが高い、

お嬢様にはこんなこと出来ないかなー」


ノリノリで艶っぽい女豹のポーズ。

上目使いでお嬢様を挑発する。


「も、もちろん、

純心さんが喜んでくださるのなら、

当然私もそれぐらい出来ますわよ。」


お嬢様ももはや訳が分からないことになっている。


犬耳と尻尾をつけ、

四つん這いになって、

犬女ちゃんになりきるお嬢様。

本人も案外まんざらでもなさそうで、

可愛らしいワンちゃんのポーズを取ってみる。


「純心さんは犬好きだと

思っておりましたけど、

こんなことで喜んでいただけるとは

思いませんでしたわ。」


純心は犬が好きというわけではない。

成り行きで犬女ちゃんと一緒に暮らしているだけで。

なにかがいろいろと根本的に間違っている。




純心はその後も、

生徒会長から用を言いつけられ続け、

結局、最後に生徒会長と

二人きりになるまで残らされた。

『一体なんなんだよ、あの女は。

俺になんか恨みでもあんのか』


もうすっかり夕方になってしまった。

みんなは上手くやっているだろうか。

今日は疲れてしまったな。

などと思いながら家に帰る純心。



「ただいまー」


家の玄関を開けると、

お座りしている犬女ちゃんと、

犬女ちゃんの真似をして

四つん這いになっている

夏希とお嬢様がお出迎えしてくれた。


猫のヒゲを落書きされている

犬女ちゃんがワンと鳴く。


耳と尻尾を付け、四つん這いの、

しなりをつくった艶っぽい夏希がワンと鳴く。


耳と尻尾を付け、四つん這いの、

可愛らしく首をかしげるお嬢様がワンと鳴く。


「お前たち、人の家で、一体何やってんだ?」


純心はがっくりと肩を落とした。




その後、お腹が空いていた純心は、

夏希とお嬢様がつくってくれたご飯を食べる。

夏希の庶民派おふくろの味と、

お嬢様の上品で洗練された料理、

どちらも美味しくいただいた。


お礼に晩御飯の鍋をつくって振る舞う。

純心は人が集まると鍋をしたくなるらしい。


今まで一人で暮らしていたこの家に、

人が集まって来てくれるのは嬉しかった。


犬女ちゃんも大勢の人に構ってもらえて、

尻尾を振って嬉しそうにしていた。



犬女ちゃんのお風呂当番は、

回数を減らすことなく、夏希とお嬢様が、

それぞれ週に二回ずつ来てくれることになった。


お風呂があまり好きではない犬女ちゃんは、

週に四回もお風呂に入ることになり、

そこだけは少し不満だった。

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