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犬女ちゃんと全国行脚(1)

帰りの新幹線。

疲れているのもあってか、

みんなは少し大人しかった。


楽しい時間は

すぐに終わってしまう。

旅行という非日常から

学校生活という日常へと

帰って行かなくはならない。

なんだか少しせつないような

寂しいような気持ちに襲われる。

そう明日からまた学校なのだ。


とはいえ、

この人達の生活が

非日常ではないとは

言い切れないのだが。


-


「すごい楽しかったですわね」


お嬢様は笑顔だったが、

やはり少しどこか

寂しさを感じさせる。


「そうだねー、

面白かったねー」


その言葉に頷く夏希。


「国内旅行もいいもの

ということがわかりましてよ」


そう言えば、

国内修学旅行もどきに行きたいと

言い出したのは生徒会長だった、

十分に満喫してもらえたようで

そこは何よりだ。


「いい取材が出来たかな」


図書委員はもう開き直って

小説を書いているのを

隠さないことにしたのだろうか。


「夢幻の如しだったな」


小夜子先生からすれば、

夢のような三泊四日だっただろう。



純心もさすがに

これで大学めぐりも終わりだろう、

なんだかんだ言っても

やはりこれはこれで楽しかった。


などとすっかり終わった気で

これまでを懐かしんで、

みんなと話をしている純心。


「何をおっしゃているのでしてよ」


生徒会長はまた例によって

嫌な高笑いをはじめる。


「あなた達二人には、

これからも日本各地の

大学回りをやってもらいましてよ」


「は?」


このパターンをこの数か月で

一体何回やったことであろうか。


当然二人というのは

純心と犬女ちゃんのことだ。


「地方の大学関係者のみなさまからも

犬女さんに会いたいという

要望が殺到しているのでしてよ」


『うーん?なんのことだろう?』


純心はわかってはいたが

すっとぼけたい気分だった。


秘密結社『大学関係者』、

当然ながらそのメンバーは

日本全国各地にいる。


「あなた達にはこの後も

引き続き日本各地を

回っていただきましてよ」


『それって、どさ回り営業で

地方巡業して来いってことですよね?!』


「いやいや、そうは言っても

年内の週末ってそんなに残ってないし、

平日は学校あるから無理でしょ?」


「そこは心配には及ばなくてってよ」


生徒会長は不敵な笑みを浮かべている。


「あなたにはネット動画で

授業を受けていただきましてよ」


『うわぁ、そう来たかあ』


もはやここまで来ると純心も

ちょっとドン引きしてしまう。


「これからの時代、

不登校や引きこもりの生徒にも

授業を受けていただけるような

学校側の努力が必要でしてよ」


『それ、

努力する方向が間違ってるだろ』


この少子化の時代、

学校も生徒を集めるのが

大変であるということだけは

純心にもよくわかった。

他は何を言ってるのか

よくわからなかったが。


-


帰路の車中で

生徒会長から

日本全国の訪問先

候補リストを

純心は手渡される。


純心は渋々

リストに目を通す。


【横浜】


『これはわかるわ、

学校終わってからでも

行けなくもないし』


【宇都宮】


『これもわかる、

放課後日帰りは

無理かもしれないけど』


【名古屋】

【静岡】


『まぁまぁ、これもギリ

ギリだけどまぁわからなくない』


【奈良】

【神戸】


『なんで京都、大阪と

一緒に予定組まないかなー』


【北海道】


『ほわっと?!』

『もう十二月になるってのに

北海道に行けってか?!

凍え死んじゃうだろうが!』


【新潟】


『だから、

冬に豪雪地帯とか、それ

絶対だめなやつだから!』



他にも広島、四国、九州、沖縄と

純心的に今あまり見たくない

地名が並んでいる。


『これ、俺一か月ぐらい

学校に行けないんじゃないか?』


生徒会長と折衝して

数を減らしてもらったが、それでも

北海道、新潟、九州、沖縄

という地名はしっかりと

勝ち残っていた。



横では夏希とお嬢様が

楽しかった旅の終わりを

嘆いている。


「明日からまた学校ですわね」


「なんだか学校に

行きたくなくなっちゃうねー」


『俺、めちゃくちゃ

学校行きたいんですけど!!』



というわけで、

京都と大阪の

旅行から帰った後も

しばらくの間は、

純心と犬女ちゃんの

大学めぐりは続いた。

しかも関東近郊だけではなく、

日本全国規模で。






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