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犬女ちゃんと京都・大阪(6)/超高級ホテルのスイートルーム

旅行一日目が終了し、

一同は宿泊先のホテルへ。


生徒会長とお嬢様が

相談して決めたという

宿泊先は超高級ホテルだった。


「こ、ここに泊まるんですか?」


あまりに高級過ぎるため

純心の声も震えてしまっている。


「大丈夫ですわ、私のお父様が

オーナーをしているホテルですから」


あのお嬢様を超溺愛しているお父様

こんな超高級ホテルのオーナーも

しているとは知らなかった。

そりゃあんなお屋敷にも住めるわけだ。


純心はそう思っていたが、

部屋に案内されてさらに驚きは倍増、

そこは一晩何十万もするような部屋

最上階の超高級スイートルーム。


しかも超高級ホテルの

最上階スイートルーム

であるにも関わらず、

修学旅行の雰囲気を出すために

敢えてしょっぱい和風に

内装を変えさせていた。


スイートルームに畳を敷き詰め

せんべい布団を並べ、

チープ感あふれるそば殻枕、

薄っぺらい浴衣が

あえて用意されている。


『やべえ、大金持ちの

無駄遣い感が半端ねぇ』


超高級スイートルームだけあり、

部屋の中にもいくつか

部屋があって、純心は

その一室で寝ることに。


女子と先生は、

畳にせんべい布団の

しょっぱい感じの部屋に

みんなで雑魚寝するのだと言う。

大金持ちからすれば

貧乏ぽいのも道楽のひとつ

ということになるのだろうか。


-


この段になって純心は気づく。


性的な意味で女子大好きな

小夜子先生が、女子部屋で寝るのは

まずいのではないかということに。


小夜子先生が女子部屋で

寝るということは、女子部屋に

男子一人だけ純心が寝ることと

意味としては大して変わらない。


可愛い女子達の部屋に

ケダモノを一匹放り込むと

同じではないかと。


同性愛等に偏見はない

純心であったが、

可愛い子猫ちゃん達を

小夜子先生に寝取られるのは

さすがにゾッとしない。


犬女ちゃんが子猫ちゃん

というのも、もう何がなんだか

わけがわならい話ではあるが。



「先生、女子に

変なことしないでくださいよ」


純心は小夜子先生に

小声で耳打ちするが、

なんで生徒が担任の先生に

そんなことを言わないと

いけないのか納得がいかない。


「馬鹿者、私とて聖職者だ、

そんなことをするわけなかろう」


と言いつつも小夜子先生は

頬を紅潮させ、すでに

はぁはぁ言っている。


『あかん、

これ絶対あかんやつや』


小夜子先生の発言に

ツッコミどころが多過ぎて

どこからツッコんでいいのか

わからない純心。


むしろ二学期になってから

授業以外でまともな

小夜子先生を見たことがない。

ベタ過ぎるツッコミだが

ここはやはり『性職者』と

ツッコまざるを得ないだろう。



小夜子先生も小夜子先生で

やはりこの状況で

ここは楽園かなにかか、

もしくは自分は死んで

天国に来てしまったのではないか

ぐらいに思っていた。


敬愛する犬女さまがいて、

自分が目をつけていた

美少女達が勢揃いしていて

あの小生意気な中二もいない、

こんな日が訪れる日が来ようとは

夢にも思わなかった、

というのが本音のようである。


しかし今、犬女さまから絶賛

焦らし&放置プレイ中の自分が

変なことするわけにはいかない、

ここは我慢するしかない

とも思っていた。


我慢の理由が全面的に

おかしなことになっている。

他に我慢しなくてはならない

理由があることに

早く気づいて欲しいところだ。


おそらくこのまま一生

焦らし&放置プレイ

ではないかと思われるのだが。


「何か変なことされたら、

抵抗して呼びに来るんだぞ」


純心は犬女ちゃんに

よく言って聞かせておいた。

犬女ちゃんも

首を縦に何度も振って

うんうん頷いているようだ。


-


女子部屋の就寝前、

ちょっとお行儀は悪いが

お布団の上でお菓子を出して

食べたりしながら

おしゃべりを楽しむ女子達。


修学旅行にありがちな

夜更かしを楽しむイベントを

再現しているようだ。


「なんかこういうのは

わくわくどきどきいたしますわね」


帰国子女のお嬢様は

こうした修学旅行の経験がないらしく

本当に楽しそうだ。


小夜子先生は

女子達が話しやすいように

部屋の片隅で

寝たフリをしているが

耳をダンボのように大きくして

しっかり話は聞いている。




「こういうときは何をして

夜更かしすればよろしいのですって?」


中学のときから修学旅行は

いつも海外と言っていた生徒会長も

お嬢様と同じく

こういう経験はないようだ。


「やっぱこういうときは

恋バナとかするんじゃないかなー」


庶民を代表して夏希が答える


「そうですね、

みんなそういう話よくしてますよね」


やはり庶民代表の図書委員。


「わんわん」


犬女代表ということでいいのだろうか。


「いいですわね、恋バナやりましょう」


「私もそれでよろしくてよ」


セレブ二人組は

普通の修学旅行によくある

女子の夜更かしを

充分に満喫したいらしい。


「……。」


「…… ……。」


「…… …… ……。」


しかしよくよく考えると

小夜子先生以外、

みんな純心が好きなので

気まずくて恋バナどころではなかった。






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