表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/233

犬女ちゃんと身体測定(2)

犬女ちゃんのことに端を発し、

スケ番とギャルが言い争い、

それがクラスの女子全員に伝播し、

部屋はすっかり

騒々しくなってしまっていた。


犬女ちゃんに関しては、

みんなもまだ様々な意見を持っており、

それを話し合うというのは

民主主義的であるように思えたが、

ともすると、

本人がいるにもかかわらず

悪口を言っているという

陰湿な状況にもなり兼ねない、

そんな危うさもあった。



すると犬女ちゃんは突然、

それまで着ていた

検査着を脱ぎ捨て、

テーブルの上に飛び乗った。


二本足で立ちあがると、

全裸のままで、やたらに

カッコいいポーズを

キリリと決めて見せた。


まるでボディビルダーの

ポージングのように

いくつもの決めポーズを

みなの前で披露しはじめる。


そこにいる女子全員が、

唖然としてその姿を見つめる。


犬女ちゃんは完全に

海水浴に行ったときの

お母さんの真似をしていた。


お母さんが悪影響を

与えてしまったのは、

ちびっ子達や

夏希だけではなかった。


ちょうどうるさく

なっていたからなのか、

何か気を利かせたのかは

かわからないが、

保健医の日向先生が

他の電気を消したため、

薄暗い中で、犬女ちゃんが

立っているところだけが、

照明で妙に光輝いて見える。


照明の真下であったせいもあり、

まるで犬女ちゃん自身が

何か神々しい光でも放って

輝いているようでもある。


『シャイニング全裸犬女ちゃん』


犬女ちゃんは、いつの間にか

お母さんの秘技を受け継いでいた。


お母さんは、言葉を使わなくても

肉体で語ることを教えたのだ。

いやもうこの際

そういうことにしておこう。


犬女ちゃんは

美しい声で一度遠吠えする。

それはまるで月夜に向かって鳴く

美しい狼のようにも思える。


そのまったく意味が分からないが

なぜか心打たれる光景に、

その場いる女子全員が目を奪われた。


だがそれ以上に圧巻だったのは、

その圧倒的なまでに大きな胸だった。

その場にいたすべての女子が

固唾を呑んで見守らずには

いられなかった。


「こ、こいつ、

なんて得物を持ってやがる(ゴクリ)」


「こ、こいつは、

あたいには眩し過ぎるぜ…」


スケ番はなぜか感激して泣きはじめていた。


「あ、あーし、こんなすごいの

マジ見たことないしー(ゴクリ)」


「なんでだろ、

あーし、涙が出てきちゃったよー」


ギャル達もなぜか感激して涙を流していた。


他の女子も同様に、まるで

この世のものではない何かを

見てしまったかのような

反応を示している。


クラスの女子全員が、

圧倒的な戦力差(胸)を

見せつけられ、

完全に心を折られたが、

その清々しいまでの敗北に、

なぜか感涙を流さずには

いられなかった。



犬女ちゃんのことが

心配で仕方がなくて、

こっそり様子を見に来ていた

小夜子先生も、

犬女ちゃんのその姿を見て、

感激の涙を流していた。


「さ、さすが犬女さま

言葉など使わずとも、

その神々しいお姿を

見せつけるだけで、

完全にこの愚か者どもを

制圧されましたわ」


犬女ちゃんのことになると

見境がなくなり、

自分の生徒達をつかまえて

愚か者と言ってしまう

小夜子先生は相変わらず

どうかしていると思うが、

確かに犬女ちゃんは裸ひとつで、

決定的なまでの女性的優位を

見せつけることで、

その場にいた女子みんなの心を

完全掌握してみせた。


-


「おい、犬女、

あたいはあんたのこと

認めてやることにしたぜ」


スケ番お京は

後で犬女ちゃんにそう言いに来た。


「犬女ちゃーん、

あーし、すごい感動しちゃったよー」


「あーしもー

あんなすごい胸見たことないよー」


白ギャルも黒ギャルも、

感動を伝えにやって来た。


犬女ちゃんは、

よくはわからなかったが

相手の好意的な笑顔を見て、

笑顔で明るくワンと鳴いて応えた。


犬女ちゃんはこれから、こうした

ほんの些細なことの積み重ねで、

地道にファンを、仲間を、

獲得して行くことになる。


-


身体検査が終わって

クラスに戻って来た女子は、

なぜかどんより落ち込んでいた。


ただ犬女ちゃんだけは、

いつもと変わらぬ晴れ晴れとした顔で、

嬉しそうに尻尾を振っている。


「図書委員、ありがとうな」


「女子のみんな、

暗いみたいだけど、

なんかあった?」


純心の言葉に、

図書委員は苦笑いする。


「う、うん、ちょっとね」


クラスの女子で

一番胸が大きいのが

犬女ちゃんだと判明し、

女子達はなぜか

みんな落ち込んでいた。


それからなんとなく

クラスの女子全員が

犬女ちゃんには

一目置くようになった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ