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犬女ちゃんと巨大レジャー施設

カラオケが終わった後は、

みんなでボーリングをすることに。


純心はまだカラオケの採点で、

犬女ちゃんに負けたことに

納得がいっていない。


『まぁさすがにボーリングは

無理なんじゃないかな』


指が極端に短い犬女っちゃんが

真ん丸であるボーリングの球を

持って投げるのは無理だと

純心は思っていた。


しかし犬女ちゃんは

両手でボーリングの球を挟んで

見事に持ち上げてみせる。


あのつるつるの表面に出来ているキズに

うまいこと爪もひっかけているようだ。


「おー、これで

イオちゃんも一緒に

ボーリング出来そうだねー」


「やはり何でも

成せば成るということでしょうかね」


女子達は犬女ちゃんと

ボーリング出来ることを

純粋に喜んでいる。


まぁさすがに犬女ちゃんに

スコアが負けることはないだろうと

思っていた純心だが、

結果的に、見事に負けた。

しかも二ゲームやって二ゲームとも。



小さい子が投げるように、

ボールを両手で持って、

そのままドタバタ歩き、

よっこらしょと

言わんばかりに投げる

犬女ちゃんに負けたのだ。


「ボーリングでも

犬女ちゃんに負けるって

純心ヤバ過ぎでしょー」


夏希は腹を抱えて笑った。


今まで友達がいなかった純心、

ボーリングもそれほど

やったことがあるわけでもなく、

得意というわけではなかったが、

普段であれば八十~九十の

スコアが出せるはず。


だが今日に限って、リリースする瞬間

手首がすべて曲がってしまっており、

ガーター連発だった。


「さすがお兄ちゃん、

ここでもお約束の展開で、

冴えない主人公感の演出とは熱心ですね!」


『こいつ、殴ってもいいかな?』


-


いつも犬女ちゃんに優しい純心だが、

ついついムキになってしまう。

いや、もともと遺伝的に

頭に血が登りやすい性格ではある。


「よし!

次は卓球で勝負だ!」


さすがにラケットを手でつかめない

犬女ちゃんに卓球勝負とは

大人げないことを言てしまったと

反省する純心であったが、

卓球でもあっさり惨敗した。


犬女ちゃんを勝たせようと、

夏希達女子が一致団結してサポートしたのだ。

周囲に人がいないときに試合をはじめ、

他の人からは見えない位置に

女子が立ち、鉄のカーテンならぬ

女子のカーテンをつくる。


女子のカーテンとは

なんという素晴らしい響きなのだろう、

肉襦袢に匹敵するぐらい素晴らしくないか、

などと純心が思っていたら、

犬女ちゃんから

強烈なスマッシュが飛んで来た。


人から見えなくなったため、

封印されていた

真の犬女ちゃんの力が覚醒した。

というかラケットを口でくわえていた。


「やーい、

卓球でも負けてやんのー

ずる勝ちしようとするからだよー」


夏希は腹を抱えて笑った。

ちょっとムカつくガキ大将みたいに

なって来ている。


-


「こうなれば、

3 on 3 のバスケットで勝負だ!」


さすがにドリブル出来ないし

バスケは無理だろうと、

純心は思っていたが、

夏希が出したゴール前に出した高いパスを、

犬女ちゃんはその驚異的な跳躍力で、

見事に両手でキャッチして

アリウープを決めてみせた。


純心はもう勝負どころではなく、

ただただ感心するばかりである。


『いいもの見せてもらったわ』


そもそも犬女ちゃんは、

俊敏性、瞬発力などの

身体能力に関しては、

犬の素養が高いため、

純心やこのメンバーどころか、

普通の人間ですら敵うかわからない。


ただ身体的な特徴から、

道具が使えなかったり、

ドリブルが出来なかったり、

するだけなのだ。


みんなが犬女ちゃんの

スーパープレイに湧き上がる中、

生徒会長も興奮していた。


「これで体育もバッチリでしてよ」


純心は生徒会長のつぶやきを

聞いてはいなかった。

聞いていたところでその意味など

まだわからないのだが。


-


今日一日みんなと一緒に

遊ぶことが出来て大満足の犬女ちゃん。

人間の遊びというのは、

随分と面白いものだなぁ、

と思っていた。


結局、純心は今日一日

犬女ちゃんに全敗、惨敗だった。

他の勝負もことごとく

夏希達女子のサポートが入り、

完膚なきまでに叩きのめされた。


「さすがお兄ちゃん、

冴えない主人公感の演出が

冴えわたってるじゃないですか!」


『こいつ、本当に殴ってもいいかな?』







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