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犬女ちゃんとお買い物(1)

純心は、人間に変装した

犬女ちゃんことイオちゃんを、

買い物に連れて行く。


ショッピングモールでもよかったのだが、

以前ペットを同伴出来るモールに

夏希とお嬢様と一緒に

行ったことがあったため、

今回は百貨店・デパートに

行ってみることにする。


東京などの都心にあるデパートは

さすがに無理だろうから、

行く先は必然的に近くにある

郊外のデパートということになる。


純心としては、

犬女ちゃんといろいろなところに

出掛けること自体が目的であるため、

場所はどこでもいいと言えば、

どこでもよかった。


-


郊外とは言え、

デパートがあるぐらいの街だから、

そこに向かうために乗る電車にも、

相応に人が乗っている。

前回のような、ほとんど人が

乗っていないような電車

というわけにはいかない。


電車に乗る純心にも

犬女ちゃんにも緊張が走る。

座れる席もなかったので、

乗降口の横脇辺りに二人で立ち、

ラブラブカップル風を装い、

なるべく犬女ちゃんが

人目に付かないよう、

純心が盾代わりになった。


慣れないことを

させてしまっているため、

犬女ちゃんがストレスを

感じていないか、

純心は心配したが、

犬女ちゃんは案外

平気そうだった。


犬女ちゃんは、

メンタルがタフだし、

純心と一緒なら

いつでもどこでも問題はなかった。


そして

純心が望むことであれば、

何でも素直に受け入れる、

そんな健気な女の子だ。


-


目的地の駅にも、

相応の人通りがある。

そもそもデパートなどは

人が集まる場所に

つくられるものだから

仕方が無い。


デパートに入ると、

涼しい空気にまずはホッとする。

今日も暑い日であったため、

すでに相当に汗をかいており、

服の背中もびしょびしょだ。


犬女ちゃんの

白いブラウスの背中も汗に濡れ、

ブラが透けて見えている。


そんなセクシーなところにも

ドキドキするが、

正体がばれるようなものが

見えたり出たりしていないか、

違った意味でもドキドキする。

純心の心臓もドキドキで大忙しだ。


-


一階のジュエリー宝飾品売り場では、

光り輝く宝石に犬女ちゃんは興味を示していた。

当然ながら宝石に価値を

見出しているわけではなく、

光り輝く物に興味を示しているのだろう。


「あら、よろしかったら、

指輪をはめてみませんか?

とてもお綺麗ですから、

きっとお似合いですよ」


たまたま犬女ちゃんが

指輪の輝きを見つめていると

店員がそう話かけて来る。


当然純心はそれを断る。

犬女ちゃんの指に合う指輪など存在しない。

その手は前脚でもあるのだから、

脚に指輪をする人間がいないように、

犬女ちゃんが手に指輪をするはずなどないのだ。


ただそれが犬女ちゃんにとって、

可哀想なことなのかというと

それも違うだろうと純心は思う。


宝石の価値、いやお金の価値ですら、

人間が決めたものなのだから、

犬女ちゃんをその価値感に当てはめるのは

そもそもがおかしな話だ。


犬女ちゃんにとって

価値あるものとは、

あくまで群れの仲間のこと。

後はせいぜい食欲と

睡眠ぐらいではないだろうか。

価値を見出せるものが少ない分、

それに対する想いは、

人間とは比べものにならない。

純心はそうしたことも、

少しずつわかるようになって来ていた。


それでも、プレゼントにネックレスでも

買ってあげようかと思いもしたが、

動きが激しい犬女ちゃんが、

どこかにネックレスを引っ掛けてしまったら、

事故になるかもしれないと思いとどまる。







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