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純心と生徒会長

高二ともなると、

周囲にはカップルが溢れ、

リア充爆発しろ、

と思わずにはいられない状況だったが、

三馬鹿トリオと純心には全く無縁の状態だった。


そんな校内の風紀の乱れを取り締っているのが、

生徒会長の西園寺薫と、

副会長の今生河原ルイをはじめとする、

生徒会役員の面々だ。


特に生徒会長の薫は、

不純異性交遊にはとにかく厳しかった。

おそらく極度の潔癖症なのではないか、

という噂が陰で囁かれていた。


純心は生徒会長の薫が苦手だった。

一年生の頃、帰宅部で暇だろうと言われて、

やたらと学校行事の運営委員会に参加させられたが、

生徒会長には、暗くてどんくさい奴だとでも

思われたらしく、やたらと絡まれた。

やれ、ああしろ、こうしろと、

とにかくいろいろ言って来た。

そんなこともあって純心は

生徒会長をの薫を苦手としていた。



「しかし我が輩達にもなにかこう、

色よい話でもないものですか、な」

話題を仕切るのが好きなメガネは、

新学期早々張り切っていた。


「僕には妹達がいてくれるから、

別にいいかって感じ、だよね」

じゃがいもは、いつも

妹の話につなげようとする。


「お主はそんなこと言っているから、

シスコンとかロリコン疑惑をかけられるのですぞ」

ドルオタは突っ込みを担当することが多い。



「人間の女子は恐れ多いので、

せめて可愛い犬女さんでもよいのですけど、な」


メガネの発言に、純心は吹き出しそうになる。

『なんだよ、いきなり、

俺が犬女と朝散歩しているとこでも見てたのか?』


「僕は、幼い犬女だったら、

面倒見てあげたいん、だよね」


「犬女のアイドルグループだったら、

ドッグファイトという

ネーミングがいいですぞ」


純心の気持ちとは裏腹に、

三馬鹿トリオは犬女の話で

盛り上がりはじめる。


「いや、犬女の話はいいんじゃないかなあ

最近動物愛護団体とか、人権団体がうるさいし」

純心は必死で話題を逸らそうとするが、

こいつらはいつも盛り上がると、

人の話を聞いていない。



「あなた達。

よくもまあ、そんなふしだらで、いやらしい話を、

神聖なる学び舎で、出来ましてね。

恥を知りなさい。」

純心はその声を聞いて、

嫌な予感しかしなかった。


声の主は、純心の予想通り、

生徒会長の薫であった。


薫は、身長も高く、色白でロングの黒髪、

正統派美少女であったが、如何せん性格がキツ過ぎたため、

みなからはおそれられることのほうが多かった。


「高校生の不純異性交遊でさえ、

許されることではありませんのに。

ましてや犬女など、言語同断ですわよ。」


「学生という立場でありながら、

そんな不潔で、肉欲だけが目的の関係を持つなど、

学校側が認めるわけにはまいりませんことよ。」


「もしそんなことが本当にありましたら、

この私がその人を退学処分にしてさしあげましてよ。」


純心はグサッとするよりも、

むしろ予想通り過ぎて、若干引いていた。

『うわぁ、俺、露骨な退学フラグ立ったわ』

『別に、エロいことはしてないんですけどね』


生徒会長・薫は、学園理事長の孫娘で、

本当にやりかねないから質が悪い。


生徒会長の言葉を聞いて、

学校にバレる前になんとかしなくてはならない、

と純心は少し焦った。




それで、純心はその日の晩、母親のあや子に、

犬女ちゃんと一緒に暮らしているのがバレたら、

学校側から退学させられるかもしれない、

という純心の窮状を伝えた。


「そんなこと言う学校なんて、辞めちゃいなさいよー」

というのが母からの返答であった。

『あの学校勧めたの、お前だろうが!』


自分の周りにまともな人間が

ほとんどいないことを純心は嘆いた。

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