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第七話 アレ…?おはようって言っただけだよ?

長きに渡る夏休みを終え、今日はいよいよ学校の日だ。

朝起きて確認するも、やはり妹は箒で空を飛ぶし、母親の料理は宙に浮いてお皿に乗せられているしで、結局のところ、俺はまだ夢から覚めていないらしい。


部屋の壁にハンガーで掛けられているいつも通りの制服に身を包み、俺は外へ出た。

安定にもスライムや蟹剣士などの雑魚モンスターが家の前に居たが、夏休み中に殺しすぎた影響だろうか。


俺から逃げるように去っていってしまう。

あの後、結局、病院に搬送されたタロちゃんに謝罪をしたら、あっさり許してくれた。

それに、不思議なことまで言われて、以前の俺って何なのかを考えさせられている。


「良いよ別に。死ね!

孤高の魔術師として有名はお前が俺とまた楽しく狩をしてくれたってだけで感謝してる。

ありがとな!死ね…」


俺が引っかかるのは"俺とまた楽しく狩をしてくれた"という部分。

それがまるでタロちゃんの念願だったかのような言い方だ。


それに俺はこの世界、きっと俺の夢の中の話をしっかりとは理解していない。

どこかのテンプレファンタジー小説とかでは、世界観とか全部紹介されたりとかするのにそれがまるでない。


まあ、でも家の周りも変わっていないし、場所に大した変化は見られない。

あるのは、ありえない生物が居て、赤い月が空から俺を見下ろしていることくらいだ。



そうこう考えているうちに、いつもの通学路を歩いていた俺は久坂部高校があった場所に着き、思わず二度見をした。


普通の公立高校である久坂部高校は、新設校で人手も足りていない。

教員が務めるはずの試験監督を生徒にやらせているあたりで大体気づくことだろう。

そもそも、俺が久坂部高校を志願したのに深い理由はない。


家からの距離が意外と近い位置にあったりしたから、なんていう理由だ。


俺がいつも通い、跨いでいた正門も変わり果てた姿になっていた。


正門と思われる大理石のような煌めく結晶で出来た石壁には、「都立久坂部魔法高等学校」と刻まれている。

それだけならまだ良かったが、学校の存在感は果てしないものになっていた。


白いの校舎が立ち、何棟にも分かれている普通の学校だったはずが今俺の前にある久坂部高校の姿を一言で表すのであれば、まるで城。

中世の物語などでよく出てくる上に長い形をしたお城のようだった。

正門から見える体育館があった位置には、闘技場のような巨大なドームが置かれ、校庭があったはずの場所には沢山のモンスターがのさばり、朝から部活動をしている生徒達のマトとなっている。



うん、訳がわからないよ。

もし、これが現実なのだとしたら不思議な気分に陥って、ただただ死にたい。


そんなネガティヴ発言を頭の中で繰り返していると、後ろから声が聞こえる。

俺を呼んでいる声だ。



「神代君、おはようございます!」


後ろを振り向くも、誰もいない。

が、声は聞こえる。


「下を見てくださいです、下を!!」


下を向くとそこには、ジャンプをしつつ、ぷくーっと頬を膨らませた怒り顔の葛城先輩が居た。

前に会った時は私服姿だったが、制服姿はまた一段と華やかで可愛く思える。


葛城先輩に力一杯の「おはよう!」を浴びせると、周りに居た生徒は俺の方を見て何かヒソヒソと話をしている。

何かおかしいことでもしたか?


分からない…!

取り敢えず、周りの様子はかなり気になるが気にしていても仕方ない。


俺は自分の教室を理解していないが、

いつもなら1-A。


そして、玄関に辿り着き、自分の名前を下駄箱で探していると、あった!!


いつもと同じ場所、俺が見慣れた場所に俺の名前はあった。


下駄箱の扉を開けるとーーー


……ドッサァ。


半端ない量のラブレター?果たし状?

何やら手紙が大量に出てきた。

夏休み明けでこれからって時になんだろう、不思議な気持ちは。



女の子と接することすら不可能な陰キャラ系男子であれば、この展開は手に汗握るほど手に入れたい状況なのだろうが、少なくとも俺はいらない。


この状況を楽しむとは言ったけれど、

なんなんだ?ラブレターと果たし状って。


ラブレターまでは分かるけど、果たし状って決闘でもするのか?

訳わからん!


俺は上履きに履き替えて、教室へと向かった。



***


「か〜〜み〜〜し〜〜ろ〜〜!!」


教室の前の廊下を歩いていると、何処からか声が聞こえる、それが背後なのだと理解したのは、飛んできた殺気を回避した後だった。



「相変わらず、凄い身体能力だな〜〜!

俺と決闘しろよ!!」


ごめん、まず、数カ所突っ込ませろ。

この人はなんでいきなり襲いかかってきて、俺に喧嘩を売っているのだろう。


残念ながら僕はこの人を知らない。

この世界で知らないということは、葛城先輩の時のように見たことがある人間と無い人間が居るのだろう。



「なになに?

やっと300回断ってきた俺との決闘に乗っちゃう?!


ほらほら、俺を倒せば序列二位だよー?

四位なんて立ち位置、嫌でしょ!

ほら、やろ!」


なんと無邪気なんだろう。

まるで子供のようだ。


だが、彼は同い年なんだろう。

そうでなければ、俺と同じ上履きの色をして居るはずがない。


そもそも、この学校の学年は色で決められている。


一年生は赤、二年生は青、三年生は緑だ。

この人も俺も赤色の上履きを履いている、これはつまり二人とも一年生ということを表しており、この人が序列二位……ん?


二位!?


な、な、な、な、なんで、そんな、そ、そ、そんな人の決闘を300回も蹴ってるの俺!?



「だんまりだな〜〜!

今日は開口一番で「おはよう」と君が挨拶したのが学校中で話題になってるのを聞いて、お誘いに来たのに!


夏休み明けでボケちゃった?」


それだけで学校中の話題になんの!?

俺ってなに、喋らないキャラ?


もう訳わからないけれど、この目の前にいる少年の勝負を何故だか受けて見たくなった。


俺は彼へ宣戦布告をしてみようと思う。

大きく息を吸って、彼へ。



「わーったよ、わかったら嬉しそうな顔やめろ!」


この声でまた人が集まったのはいうまでのない事実であろう。


遅くなりました。

更新です!


こちらの小説も沢山の感想もブクマ、ありがとうございます!大変励みになります!


これからもよろしくお願いします!

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