歳神様と狼さん バレンタイン編
「何買おうかなー」
チョコレート専門店『イッチョコ』に佇む三人組。義理チョコというわけでもなく本命という訳でもなく、板チョコを買いに来ただけである。
「狼さんって、何の風味が好きなんだろ?」
私は、渡す相手の好みについて悩み出した。
「神奈ちゃんあまり考えない方がいいんじゃない?あんまり狼様は気にしなさそうだし!あぁー狼様と......グへへへ」
「何ニヤけてるんですか夏帆ちゃん......」
もう既に買っていたチョコを頬張りながら藍村夏帆ちゃんは答えた。狼さんを神のように崇拝していて、狼さんと夏帆ちゃんが初めて会った時は鼻血を出して倒れたほどだ。小動物やイケメンに目がないので、動物園はあまり楽しめない。
「毒入れたら死ねますかね?イヒヒ」
隣にいるのは常時ネガティブオーラ全開の有本舞香ちゃんだ。とにかくポジティブもネガティブに変換してしまう個性豊かすぎる女の子だ。
「どんなんでもええぞ?なんでも食うたるわ」
その有本舞香ちゃんの隣が神様でチョコを渡す相手である天照狼さんで......
「なんでいるんですか!?」
バレンタインは台無しになりました......。トホホ。