14 残された人々
14 残された人々
意識のないルオーを抱えた二人の竜を兵士たちの目から隠し、この廃れた湯治場を教えてくれたのは、宿の主人と女将だった。
「もう、若い者が死ぬ姿は見たくない」
礼を言ったルオーに親父はぶっきらぼうに答える。
「俺たちをだれかと間違えていたみたいだけれど。
ラウンドウェル王家の生き残りだと」
親父はピクリと肩を震わせる。
「あの頃はそんな話もあったもんだ。
二十何年も前の話さ。
家探しやら、山狩りやら、いろいろやっとった。
狩る方も、逃げる方も、傭兵稼業で戦慣れしとる。
何年も泥沼の追いかけっこが続いたものだ。
だが最後の王族が見つかって、火の神殿で生贄にされたのは、もう十年も前の話。
銀髪で青い目の、綺麗な王子だったというよ」
プラチナブロンドと青い瞳を持つ、ルオーを見ながら、親父は言った。
「俺たちは山越えしてきたんだ。とんだとばっちりだぜ」
レイヴンが答える。
「そんなデマで兵を集めたのは、あのフードの男なんだ。
あいつは誰か知っているか?」
「・・・モールの火の神殿の僧だな。あいつらはみんな、あのフードの同じ姿をしとる」
では、やはりモールの都の中心部まで行かなければならないのか。
ルオーの傷が治るまで、ゆっくりしていろと夫婦は言った。
「だが、あんたたちに迷惑がかからないか?
息子は兵隊稼業なんだろう?」
「・・・もう、良いんだ。
昨年知らせが届いてな。
ご子息は立派に死んだと、それだけ。
十二の時から兵士に取られて、戻ってきたのはその紙きれ一枚だけだ」




