15 竜王神殿 その3
15 竜王神殿 その3
「「わわああーーっっ!!」」
ぶつかり合って足を滑らせた二人は、斜面を転がり落ちた。
だが飛狸たちはそれ以上追う気はないらしく、食事の元へ戻っていく。
「た、助かった・・・」
「槍!槍を無くした!」
薄暗がりの中を、アルムは四つん這いになって必死で武器を探す。
やっと見つけ出した時には、あたりはとっぷりと暮れている。
「ど、どうやってあいつらを仕留める?」
「ばか、そんなことしたら俺たちが神域に入ったことがばれるだろうが」
「だだだ、だって見たろ!誰か殺されて・・・」
「あれだけの群れが入ったんだ、何人か襲われてたって不思議はないだろ。
明るくなったら誰かが見つけて退治してくれるさ。
来い。ここから離れるぞ」
立ち上がろうとして、アルムはうっ、とうめいた。
「足・・・足をくじいた・・・」
アダンはちっと舌打ちする。
「使えない奴だな。よし、ここで待ってろ。
あっちの離れを調べて来る」
「待ってろって・・・おい、アダンっ!」
やつら喰い終わったらこっちへ来るんじゃないかっ!
必死で追おうとするが、薄情な連れはさっさと離れて行ってしまう。
「アダンーーーーっ」
闇の中、恐怖に固まったアルムは必死で槍を握りしめる。
上の方からぴちゃぴちゃいう音が聞こえてこないか?
「わぁぁぁぁ・・・・」
歯の根が合わないまま、そろそろと這って行くと・・・。
上の本殿のほうに、ぽう、と明かりが見える。
[・・・ひ・・・人魂ーーーっ!]
もう、槍を杖代わりに、必死で逃げ出した。
とにかく下へ、城の明かりの方へ。
と、下り坂の曲がりで止まれず、勢いがついたまま、正面の木の幹にがん!とぶつかった。
もう一度斜面を滑り落ち、今度は尻もちをつく。
「お、落ち着け、落ち着け、落ち着け・・・」
暗がりで走ろうとするのは馬鹿だ。
誰かに見つかったって構うものか。
震える手で簡易ガンドウと火口を取り出し、火打石を切った。
小さな明かりにほっとして、片手をつくとぬるりと滑る。
ガンドウを下に向けると、足の間にあったのは、歯をむき出した飛狸の禿げ頭。
「ぎゃーーーーーっ!」
「もう、さっきからドタバタとうるさい奴だな」
「騒がないでよ。見つかっちゃうじゃない」
「あー、こりゃだめだ。白眼剥いてるわ」
『・・・・・・・・・』
夜陰に紛れて竜体となり、城壁を飛び越えて神殿の近くの林に下りた竜たちとルオーは、行きがけの駄賃に神域に入り込んだ飛狸を狩っていた。
そこへ騒がしく落ちてきたのは、衛士の制服の若者。
止めをさしたばかりの飛狸の上に落ち、死体を見てひっくり返ったのだ。




