表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜王と黄金のハート  作者: 葉月秋子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/143

      9 闘技場 その4 

9 闘技場 その4 



 眼下に群がる蟻のような人の群れにうんざりしてレイヴンは高度を上げた。


「よくもまあ、こんなにうじゃうじゃと群れて暮らせるもんだ。ギャラクの大群よりまだひどい。

 こん中からどうやってちび一匹を探せるっていうんだよ」


 群れは競技場の一点に集中している。

 一試合終わるところだった。

 勝者が倒れた小柄な相手に止めの一撃を振り下ろす。


 その時。


 レイヴンの心に、砕け散るクリスタルのような鋭い悲鳴がかすかに届いた。


『僕は死なない!絶対に生き延びて貴方を取り戻す!シルヴァーン!!』


 観衆が総立ちになった。

 凄まじい怒号にうちのめされて、レイヴンは危うく失速して墜落しかけた。


 地上で繰り広げられた思いがけぬ逆転。


 剣を折られ、重傷を負って倒れた小柄な剣闘士が振り下ろされたメイスをかわし、勝利に奢った相手を下から切り上げたのだ。

 折れた細身の剣の先が正確に革鎧の隙間を狙い、鼠蹊部の動脈を切断する。

 喚きながら倒れた相手にのしかかり、兜を押し上げて折れた剣で喉をえぐる。


 熱狂する観客の嵐の中で、勝者もまた、立ち上がれず、息絶えた相手の上に倒れこむ。

 剣の柄を握り締めたまま、激しく息をつく痩身の若者。

 埃と血にまみれ、苦痛に歪んだ繊細な顔に、流れる涙がくっきりと痕をつけている。


 気も狂わんばかりの心の叫びを聞いたのは、はるか上空のレイヴンだけだった。


『シルヴァーン!シルヴァーン!シルヴァーン!』と。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ