6 ホーン その6
6 ホーン その6
「お願いです。戻ってきて。二度と触りませんから」
あれから毎日、少年はあたりに向かって呼びかける。
『姿を見せてください。どうか、お願い・・・』
竜王の心に触れた時のように、心をのばし、呼びかける。
かすかな、誰かに触れた感覚。
だが、湧き上がる・・・不快と嫌悪。
『うるさい・・・騒がしい人間の声を出すな・・・汚らわしい・・・」
ぞっとするような憎悪。
『・・・僕が・・・嫌いなの?・・・』
『・・・人間が・・・嫌いなのだ・・・』
少年はうなだれた。
涙がぽたぽたと地面に落ちる。
「・・・わかりました・・・
ごめんなさい・・・もう・・・呼びません・・・」
ここまで誰かに徹底的に拒否されたことはなかった。
寝床にしている苔の山にしゃがみ込み、少年は声を立てずにすすり泣いた。
少年はもうしゃべらない。笑わない。
ただ一人、森の中でひっそりと、傷ついた体を少しずつ慣らしていく。
[僕はここにいてはいけない者だ]
夢のように美しく平和なここに、人間の居場所はない。
できるだけ早く、出ていかなければならないのだ。
寂しさと心細さに、少年は泣きながら眠る。




