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竜王と黄金のハート  作者: 葉月秋子


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      6 シム その6

6 シム その6



「おやっさん!船着き場で荷崩れだ!」


 叫び声に飛び起きた老人は、オッ、と痛んだ腰を押さえて問い返す。

「けが人は!」

「子供が巻き込まれた!」

 そりゃいかん!

 痛む腰をかばいながら、あわてて現場に向かう。


 家財を山ほど積んだ馬車の車輪が泥濘にはまったのだ。

 大きく傾いた馬車に驚いた馬が、荷物をまき散らしながら暴走した。

 縄でつながれていた奴隷の子供たちが逃げられず、落ちてきた荷の下敷きになったという。


 駆けつけた時は、すでに人々の手でけが人が救い出されていた。

 雑貨屋のおかみがてきぱきと指図して治療にあたる。

「子供が怪我したと?」

「腕を折ってるね。あと打撲傷がいくつも」


 おかみはため息をついて体を起こす。

「逃げ遅れた小さな子をかばったんだよ。おかげでほかの子たちにけがはなかった」

 苦痛に歯を喰い縛って体を折っているのは、両手に盗人の焼き印を押された、あの大柄な少年だった。



 怒りで真っ赤になった小柄な奴隷商人が走り寄って、あろうことか、うずくまる少年に鞭を振り上げた。

「阿呆め!余計なことしやがって!」

「やめんか!怪我人だぞ!」

 老人が怒鳴りつける。

「かまうか!こちとらの商品だ!それが傷物になりやがった!

 おい、手当なんかするな!金ははらわねぇぞ!」

「何言ってるんだ!ひどい怪我なんだよ!

 すぐに手当てしなきゃ、腕をなくすはめになる!」


 老人は顔をしかめた。

 みるみる腫れあがっていく患部。

 ねじれて折れた骨の端が、皮膚を突き破っている。

 素人目にも、酷い怪我とわかる。


 ひぃ、と声が上がり、助けられた子供たちが泣き出した。

「にいちゃん!」「シム兄ちゃん!」


「手を出すな!うちの奴隷だ!びた一文出さねぇぞ。

 だが馬車の持ち主はどこだ!

 商品を傷物にしやがって!必ず賠償させてやる!」

 小柄な男は目を吊り上げてわめき続ける。

 もう一人の仲間が加わり、馬車の持ち主を探して怒鳴りながら歩いて行った。


「かまわないから怪我人を運んできな!」

 こっちも目を吊り上げたおかみが命令する。


 老人を振り向き、言った。


「おかしいと思わないかい?

 やつら共有地にいたんじゃないのか?

 船が出ないのがわかってるのに、奴隷を連れて船着き場をうろつくなんて。

 それに」


 声を潜める。


「連れて来てるのが、小さくて弱い子三人ばかりだなんてさ」


 老軍人の眼が光った。

 

 


 

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