5 シム その5
5 シム その5
うろつく兵士や避難民を避けながら。南へ向かった翌日。
あたりを探っていたクズリが、子供を二人抱えて戻ってきた。
「なんだ、もうガキは十分だ。
これ以上増えたら食料が足りなくなるじゃねえか」
もんくたらたらのイタチに、クズリは抱えてきた子供を投げ出す。
「こんな上玉、見逃す手はねぇだろう」
殴られたらしく額にあざを作ってふらふらしている少年と、しがみつく三歳のくらいの幼女。
松明を突き付けたイタチがにやりと笑う。
「こりゃ、いい値がつきそうだ」
「おい印持ち、こいつらも縛っとけ」
運がなかったな、てめえら。
女の子を引き離そうとすると、悲鳴を上げて少年にしがみつく。
胴を持って引っぺがそうとすると、俺の足首を少年がつかんだ。
「・・・その子に・・・乱暴するな・・・」
ああ?
腹に蹴りを入れて、胸倉を掴む。
「痛い目にあいたいのかこの・・・!」
いきなり目玉に尖った枝を突き付けられてぎょっとする。
いつ枝を握って突き出したのか。
ぴたりと目を狙う枝が近づき、俺は冷や汗をかいた。
「乱暴しないで。
僕だって、君の眼をつぶすくらいのことは出来る。
でも、こんなことはやめよう。
君も仲間なんだろう?」
「な、仲間?」
俺の足かせに気付いた、そいつは言った。
「君も、捕まった仲間なんだろう?
なら、弱いものを守ってやらなきゃ」
何言ってんだ、こいつ。
ケガしてふらふらしてんのに、その子は青い目で俺を見上げて、はっきり言ったんだ。
「君が一番強いんだから、あいつらから弱い子をかばってやらなきゃいけない」




