表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜王と黄金のハート  作者: 葉月秋子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/143

      4 シム その4

4 シム その4



 人を信じて得したことなんか一度もない。


 兄貴たちは俺をぼこぼこに殴って、市場で肉をかっぱらわせた。

 ちんけなコソ泥は、パシリの俺を警邏隊の前に突き飛ばして逃げやがった。

 二つ目の焼き印を押した刑史は俺の額をはじいて言った。

「三度目はないぞ、小僧。ここに印がついたら、即鉱山送りだ」

 だから堅気になれってか?

 盗人の印を二つも付けた俺を、だれが雇うっていうんだ?


 腹ペコでふらふらになってたら、突然戦争が始まっちまった。

 逃げ出す商人の馬車からパンをかっさらおうとして、つかまって叩きのめされた。

 だが突き出そうにも警邏の兵なんてとっくに消えている。

 たたき殺されそうになった俺を、三人の男が買い受けた。


 クズリ、アナグマ、イタチ。

 名前など誰が覚えるもんか。

 俺に足かせをはめながら、奴らは俺を買ったのはその手の印のせいだと言った。


「印持ちは、まっとうな暮らしなんか出来やしねぇ。

 俺たちがしっかり鍛えてやるからよ」

 にらみつけた俺に、イタチが鞭を振り下ろす。

「まずはこれだぁ!ご主人さまをおぼえとけ!」


 俺はガキの群れの世話を任された。

 買ってきたのか、攫ってきたのか、ぴいぴい泣く十人のガキを引き連れて、ロードリアスを出るんだという。

 紐でつなぎ、食い物を分け、泣いたらひっぱたいて黙らせる。

 そしてひたすら、歩かせるんだ。


 泣いたらひっぱたく。転んだらひっぱたく。態度が悪けりゃ、食い物は抜きだ。

 どうせ目的地に着いたら、俺も一緒に売り飛ばされるんだ。

 だけどチビどもが俺を怖がってびくびくするのは、ちよっぴり気分が良かったんだ。


 そう。あいつに会うまでは。

 



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ