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竜王と黄金のハート  作者: 葉月秋子


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      22 落城

22 落城



「くそっ!暑い!」

 ラクロア正規軍第七工兵隊班長ゴートはいらついてシャベルを叩きつけた。

「俺たちは工兵なんだ!死体運搬人じゃねぇ!」

 ロードリアスの城内は死体の山だった。


 攻城から三日、日差しはきつく、すさまじい死臭が立ち込める中、城門を使えるように清める作業は大変だった。

「えい、くそ暑い!水の配給はまだか!」

「水はまだか!」


「水の配給!」

 大きな水桶を持ち、薄荷の大束を肩に乗せた子供が兵たちの間を回る。

「やれ、待ちかねたぞ」

「小僧、こっちだ!」

「おお、薄荷か。気が利くな」


 兵たちが群がって薄荷の葉をちぎって口に押し込み、ひしゃくを奪い合って水をむさぼり、さわやかな香気で口中にこびりついた死臭を洗い流す。

「おおい、こっちにもくれ!」

「ぐずぐずするな!」

 城門の向こうから待たされて不機嫌な男たちが呼びつける。

 子供は水桶の重さにふらふらしながら門をくぐっていった。 


「さあ、野郎ども!あと少しで終わる。

 気張って働け!」


 やっと通れるようになった門を潜って、騎馬の軍人が数人、やって来た。

「責任者は誰か!」

 隊長が駆けつけ、敬礼する。


「子供を探している。

 十二歳、金髪、男子だ。

 子供を見つけたら、迷わず殺して届けろ!

 あれも調べて、子供を見つけたら、並べておけ!」

 

 やっとの思いで片付けた、死体の山を指す。

 げぇ・・・。

 言い捨てて、軍人は城内に戻っていく。

 お偉いさんはいいよな、まったく・・・。


「墓掘り人足の次は子殺しかよ」

 故郷に五歳と八歳の息子を持つ班長は苦々しげにため息をついた。


 ふっ、とさわやかな香りが立ち上る。道端に打ち捨ててあった薄荷の束を踏みつけたのだった。



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