15 残された人々 その2
15 残された人々 その2
竜珠の恩恵で傷の直りは早い。
その夜、気配に気づいた三人は、ためらわず武器を取り、立ち上がった。
戸を叩く、かすかな音。
外にいるのは、一人か。
ルオーがうなずくと、レイヴンが戸を開ける。
「あら。おじさんは」
ライラが声を上げた。
山越えの旅の間に知り合って、宿を紹介してくれた芝麦の商人だ。
日焼けしたいかつい顔に、人の好さを拭いさった厳しい目をして、商人はルオーに言った。
「あんたに会いたいという人がいる」
硫黄の匂いの強い、岩場。
道もない荒れ地をぐるぐると引き回され、ルオーは息が上がって来た。
「病み上がりにすまない。安全のためだ」
ちっともすまなくなさそうに言う。
竜に戻って空から見ればすぐわかっちゃうわよ。
と言いたいライラだったが。
夜明けの光があたりを染める頃。
案内されたのは、大きな岩壁の下にぽっかりと口を開く洞窟。
数人の武装した人影が立っている。
その一人が朝の光の中に進み出た。
ルオーより少し年上か。
銀の髪に青い目。
よく似たほっそりとした姿。
二人の竜は、見た目よりも、その匂いの類似に気付く。
「ロードリアスの王子、ルオー・ラウンドウェリ殿だな」
ルオーの、正式の名を呼んだ。
「なぜそんな名で私を呼ぶ」
警戒心むき出しでルオーが尋ねた。
「八年前、抹殺しそこなったロードリアスの王子の姿があったと、王宮と神殿に知らせが入ったから」
銀髪の男は静かに答えた。
「そして、何よりその姿。
目元、口元。
ロードリアスの王に嫁いだグウェンダリナに生き写し」
「は・・・王妃を見知っているのか?」
「私の憧れの叔母上であったよ」
男は両手を差し伸べる。
「私はアル・ノースウッド。
以前の名をアルバート・ラウンドウェリと言う。
よく、生き延びていたな、いとこ殿」




