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 追試は難なくクリアすることができた。そのために頑張って嫌いな勉強をしたり補習を受けたりしたのだがそれを差し引いても簡単な問題しか出題されなかったのだ。これならそこまで真剣にならなくともクリアできたかもしれない。これはあとで知ったのだが奥村が補習中に事前練習としてとり行った小テストは難関大学のそれと同レベルであったらしい。まったく、教師には、いや、奥村にはかなわない。補習という名目で受験勉強までさせるのだから奥村は教師として、あんなんでも案外、優秀なのかもしれない。

 俺が「ありがとうございました」と丁寧に感謝の言葉を言うと、彼はそっぽを向いてどこかに行ってしまった。照れてしまったのかもしれない。


 白河さんが全教科の補習を満点で突破したのを知ったのはそれからすぐ、彼女の口から直接聞いた。彼女曰く、「当然」だそうだがその顔が少し嬉しそうだったのを俺は見逃さなかった。追試を突破したのが嬉しかったのか、これから正々堂々、絵に心血を注げるのが嬉しかったのかは知る由もないことだが。


 俺はそれから追試を突破できるか最後まで心配してくれた親友、花山祐樹に電話をかけた。


『そうか、まあ当然だろうな。君は元々、それほど馬鹿じゃあない』


 その声は喜びに満ちていた。


「そりゃあどうも」


『これは君の報告とは関係のない話だが』


「おう」


『君と白河ゆなはよく似ている』


「君と出会って約十年、初めて花山の言葉に賛同しかねるよ」


『僕もただなんとなく、ってだけだ。別に本気にしなくてもいい』


「具体的にどのようなところが似ているっていうんだい?」


『なんだ、ちゃっかり気になっているんじゃないか。そうだな、例えば微妙に天邪鬼なところとか』


「失礼な」


『いやいや、本当なのだから仕方ない』


「せめて、もう少し色々あるだろう。どちらも人間味に溢れている、とか」


『人間味に溢れている、か。ふむ……たしかに君たちは人間らしさの塊のようだ』


「花山が言うとなんだか違う意味に聞こえるな」


『そういうところが似ているっていう話だよ』


 否定できなかった。





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