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エピローグ ある嘘つき少女の話

エピローグ ある嘘つき少女の話


「樹君」

 頭が温かい。人の温度だ。私の温度も彼に伝わっているのだろうか。

 そうだ、笑わなくちゃ。ちゃんと最後は笑わなくちゃ。

 でもーー。

「どうか」

 どうか。

「私のことは」

 私のことを。

「忘れて」

 ーーーー忘れないで。


     *


 私は町外れの公園の裏道を歩いていた。

 木々が鬱蒼とし、犬を散歩している人とさえすれ違わない道だが、そこを抜けると一気に視界が開け、途切れた道の遙か下方に大きな池を見渡せる。清々しく、静かで、どこか懐かしい空気が当たりを包んでいる。池を囲む桜の木はきっと春になると華やかな花を咲かせ、その光景はさぞかし美しいのだろう。

 全てが終わった。

 何もかも、綺麗さっぱり。それは私の希望で、私はそれが正しいと信じている。

 『上原理奈』は私の探しているイブツではなかった。だから私はまた私の記憶を奪ったイブツを探しに行く。それだけだ。

 それで何が変わるのかは分からない。何も変わらないのかもしれない。けれど今の私にはそれしかないのだから仕方がない。


 池と、その先に見渡せる住宅地をたっぷりと眺めてから目を閉じて深呼吸をした。駅前よりも少しだけ澄んだ空気が肺を満たす。

 そろそろ行こう。いつまでもここで別れを惜しんでいても仕方がない。

 目を閉じると鳥の声と風のざわめく音が良く聞こえる。目を閉じているというのにまぶしいほどの太陽が本格的に夏が到来したことを告げていた。

 目を開ける。

 何かが聞こえた気がして慌てて振り返った。風に煽られた髪が弧を描いて広がった。

「嘘・・・・・・」

 そして私は聞いた。

「ーー葉月」

 もう決して聞くことのないはずの声を、決して呼ばれるはずのない名前を、私は確かに聞いた。

終わりです。

公募用に書きましたが……シーン不足、描写不足で結末までの部分が飛んでしまっている印象。

要改稿な感じですがどうしたものか……。

最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

頑張ります。。

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