第6章「眼球に残る白き閃光と、音。」
足が痛い。
頭痛がひどい。
熱も出てきたみたいだ。吐息が熱い。
このままじゃ、さっちゃんに殺されてしまう。
なんでもいい。さっちゃんに取り入る方法を見つけないと…。
また、部屋の灯りがつく。
さっちゃんが来ると思い、私は否応なく緊張し震える。
壁紙もなく、コンクリートがむき出しの部屋には音を立てる物もなく静かだ。緊張のせいで時間が長く感じる。
ドアは開かない。さっちゃんは入ってこない。
電気がついただけだった。安堵して、力が抜けて気がついたら泣き出していた。
そして、電気が消える。
パニックを起こして叫びまくる。思わず身体を揺らしてしまい、痛みに悶絶する。
「痛っ!ぁあっ…っう!」
歯を食いしばって痛みに耐えていると、全身から汗が出ていることを感じる。その汗はとても冷たく感じられて、冷や汗という言葉の意味を感じた。確かに冷たく感じる。
バンっ!
突然、強く何かを叩く音が響いた。ドアの方だ。
全身が震える。こういう時は泣いたり叫んだり出来ずに、ただ震えることしか出来ないみたいで、私はただ震えていた。
また、ドアは開かない。
震えはともらないけど、少しほっとして気が緩んだ。少し過呼吸気味に小刻みに呼吸する。
バンっ!バンっ!バンっ!バンっ!バンっ!バンっ!バンっ!バンっ!バンっ!バンっ!バンっ!バンっ!バンっ!バンっ!バンっ!
急にまたドアを叩く音が鳴り響く。分厚い鉄のドアを叩く音。
私は、私自身を殴る音の様に感じ、パニックを起こした。泣き叫ぶ。
また静かになった。
身体の震えが止まらない。
急にドアが開く。部屋の灯りはつかない。
さっちゃんが入ってきた。
部屋の外の灯りで照らされたさっちゃんの表情は明らかに激昂していた。
「貴女が悪いわけじゃないだけどね。おしおきよ。爆竹の刑。」
そう言って私の太ももの上に何かを置いた。暗くてよく分からないけど、帯の様な何か。花火の臭いがする。
ボッという音がして、薄暗闇にさっちゃんの顔が浮かび上がる。ライターを持ってる。
「じゃぁね。」
そう言って何かに火をつけて、私に投げつけた。反射的に身構える。
バタン。
ドアが閉まる。
ジジジジジ…
太ももに熱さを感じて身体がビクッとする。その勢いで光る何かが床に落ちるのを見る。煙と小さな光を発しながらそれは素早く移動する。それの光で映し出される帯状に束ねられた沢山の小さな筒。
それが何か理解するするよりも速く連続して破裂音。
帯がまるで暴れる蛇の様に不規則な動きで破裂しながら私の太ももに上がってくる。煮えたぎった油の粒が肌に当たる感覚。眼球に白く残る破裂した時の閃光。音。
痛みと絶叫。
もう嫌だ!誰か助けて!!