第28章「さっちゃんの意志を感じる」
第28章「私のせいだ」
亡くなった友恵を寝かせて手を組ませようとして、友恵に指が無いことに気が付いた。
指のない友恵の手。
手当もされてなかった。髪も散切りにされていたし、眼鏡も掛けていない。体中にアザと、小さな赤い火傷跡。多分、スタンガンをあてられたんだと思う。自分の身体にも同じような傷がある。太ももには釘が刺さっていた。
結局、さっちゃんは何一つ嘘なんてついてなかった。
友恵はさらわれていたし、おさげと眼鏡は友恵の物だった。
取り上げた鍵じゃ友恵は救えなかった。二つの鍵の片方はこの部屋の鍵。もう片方は監禁部屋の鍵。この地下室から出ることは出来なかった。
ただ私が一人で疑心暗鬼になっていただけだ。
友恵を殺したのは私だ…。
猟銃はのこぎりか何かで筒の部分を途中で切り取っているらしく先端がささくれていた。さっちゃんはこれを縛り付けた友恵の脇腹にセットして、扉を開くとストッパーが落ちて、重りが引き金を引く仕掛けを作っていたのだ。
私は棚に固定されていた猟銃を取り外して手に取る。ガムテープで固定していただけなので簡単に取り外せた。
その棚には散弾が箱入りで沢山入っていた。さっちゃんの意志を感じる。
驚くほど私は冷静だった。
昔見た映画の要領で弾を込める。少し手間取ったけど弾を込める事が出来た。
私はドアを開ける。そして、またあの部屋に戻った…




