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あなたに許してほしい  作者: Coo...
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第19章「食べさせて下さい」

 さっちゃんは息を整えてから、最後の指を私の額に投げつけた。

「食べなさい。」

 彼女の言った事が信じられなかった。聞き返す事も出来ず、私は固まる。食べる?友恵を、食べる…。

「聞こえなかった?聞こえてるでしょ?いい加減にしないと、今度は友恵ちゃんの足の指を切ってくるわよ?」

「…冗談よね?」

「えっ?何々?冗談に聞こえた?この状況で?本当に冗談に聞こえたの。しょうが無いわね。じゃぁ、足の指も追加よ。」

「ごっ、ごめんなさい!」

 慌ててとにかく謝る。

「……いいわ。これが最後よ?また寝ぼけたことを言ったら、足の指を切ってくるわ。次は耳が良いかしら?末端から少しずつ切り離して持ってきてあげる。」

 さっちゃんは床に落ちていた友恵の指を無造作につかんで、私の頰をツンツンとつつく。反射的に避ける。予測していたのだろう、流れる様な動作で平手で殴られた。

「我が校の校風は自主性の尊重でしょ?無理矢理何かをさせるなんて事したくないわ。」

 友恵の指をさっちゃんは指で弾いた。私の額に当たる。

「ひっ。」

「椅子からおろしてあげるから、友恵ちゃんの指を食べなさい。」

「さっちゃん…。私…、私…友恵の指…」

 言葉が出ない。足がすくむ。手が震える。食べないと、友恵は…

 さっちゃんは淡々と私と椅子をつなぎ止めていたテープを切って、震えて固まってしまっている私を椅子から引きずり落とした。

「さぁ、早く食べなさい。」

 床に転げ落ちた私の目の前に何本か指が落とされる。思わず悲鳴をあげて、のけぞってよける。そして、私はつばを飲み込んだ。

 切り取られた指。友恵の指…。

 切断されてすぐなら、お医者様の力でもう一度、元の様に動かないまでも、形だけでも付くかもしれない。でも、食べないと次は足の指を切られる。

 落ちている一本を拾う。手が震える。でも食べないと、友恵は次に足の指まで失う。食べないと…

 頭で分かっていても、身体が拒絶する。口に入れようとして嘔吐く。手の震えが止まらず思わず、友恵の指を落とす。

「食べられないのね。残念だわ…。さっきも言ったけど、あなたのペナルティは友恵ちゃんに払ってもらうわ。」

 思わず私はさっちゃんにすがりつく。

「食べるわ!食べるから!!お願い許して!」

「なに?貴女?それが人に頼む態度なの?」

「頂きます!食べさしてください!」

 さっちゃんは私の壊れた左足を踏みつけて、自分の身体からすがり付く私を引きはがした。

「お願いするのに、土下座も出来ないの?それとも、口だけでホントは食べたくないのかしら?」

 私は慌てて手元にある指を拾って、土下座して懇願する。

「友恵の指を食べさせてください…。お願いします。」

 さっちゃんは私の頭を踏みつけた。額が床に押しつけられる。

「お願いの仕方も知らないの?それに誰が手を使っても良いって言ったのかしら?やる気あるの?」

 さっちゃんは淡々とした口調で私の頭を何回も踏み躙った。 

 

挿絵(By みてみん)

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