人物紹介四
その四です。ネタバレにご注意ください。
シアン・ラグ・ファルクス
偉大な父を持つエルフの少女。まさに英雄たる父に憧れ、隣に立つ力が欲しいと日々願う。そのために過去の英雄へと自分を重ねつつ、丹念に鍛錬を繰り返す日々を過ごした。
美しい容姿に素直な性格、明るい笑顔と見るものを引き付ける強烈な魅力を持ってはいるものの、内面には極大の危うさを抱えている。
その性根はもはや生まれついての戦闘狂。思いの強さは父への憧憬さえ軽く超えている。ただし、本人にはそこまでの自覚は無い。
後のエリス・ラグ・ファルクス。
アルセウス・ラグ・ファルクス
シアンの父にして、国中に名を轟かせる偉大な騎士。
貴族の出では無いにも関わらず最上層の錬騎兵級の力を持ち、同時に成り上がりとは思えないほどの柔らかさも併せ持つ。平民からの大きな支持を持つ傑物の一人。無論、貴族筋からの評判は芳しくない。
娘と対比するかのように恵まれた体躯は、あくまで必要十分の筋肉を体に張り付かせたものである。内在魔力の優れた彼にとって、それ以上の肉は必要無く、同時につけるのも困難だからである。
彼の非業の死はまさしく悲劇であったが、むしろ恐れるべきは娘の変貌であった。幸いにして、それは訪れなかったようではあるが。
名前が超有名作品のモンスターと被ってしまったのは完全に調査不足。
マティア
ファルクス家に仕える侍女。事実上、シアンの母代わりの存在である。
元は戦争孤児であり、死のふちにあったところをアルセウスに拾われた。ゆえに彼に抱く思いは恋愛感情などというものを遥かに超えている。
常にメイド服を着込んでいるが、これはアルセウスからの贈り物であるがゆえ。ただしそれを侍女服だと認識しているものは一人も居ない。
髪はくすんだ茶色で、瞳も同じく茶色である。顔つきはさして美しくは無いが、それはあくまでエルフの基準による。人間視点からすれば贅沢な話である。体格は細身で、色々と豊かなわけでも無い。固定化の調整が不得意なので仕方が無い、といったところ。
ドゥーガ・ラグ・スィーン
アルセウスの率いる錬団の一員にして、彼の副官のような存在。
魔力はそこそこ、不足を鍛えた鋼の肉体で補うタイプ。総合的な腕前は下層の錬騎兵程度だが、思慮深さと戦術眼の冴えを買われてその地位についていた。アルセウスへの忠誠の強さも際立っている。
彼無き後もシアンの元から離れなかったのは、その主への思いの強さが柱であった。無論シアンの成長が楽しみなのも事実だったが、それは日が経つごとに恐怖へと変わりつつある。心配が杞憂であることを願う毎日である。
レシュグランテ
古老の一角であるレシュグランテ、その第一財産継承者。
己の楽しみを最優先に考える破綻者であるが、力はまさしく古老に相応しいほどである。政治も金も、面倒ごとには一切手を出していないにも関わらず地位を追われないのはまさに魔力のおかげ。純粋に何でもありで殺し合わせれば、アルセウスをも確実に殺しきるだけの強さを持つ。シアンの当面の目標。無論、歪んだ意味である。