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アジの骨せんべい
次の日、学校から帰った美弥を待ちかねるようにして、朝の成果を聞いてみた。
実は、一日中気になって、家事が手につかなかったのだ。
「謝ったよ」
あっさりと美弥は答えた。
「そう。偉かったね。さとる君はなんて?」
「さとる君も、ごめんねって」
拍子抜けするくらい、あっさりと美弥は答えた。今日のおやつは、アジの骨を油で揚げたおせんべいだが、それを食べるのももどかしそうである。
外に遊びに行きたくて行きたくて、そわそわしている。
「今日は、誰と遊ぶの?」
「ユリちゃんとヒメちゃん」
「さとる君は? 遊ばないの?」
ひやりとした。親から禁じられたか?
「ううん。塾があるから、後から来るって」
「ああ……」
そんなものなのだ。そんなもの。
心配なんて、無用の長物。次の日になればすっかり忘れてしまう。そして、仲良く遊ぶ。
けんかしたって、泣いたって、一晩寝れば、屈託なんて、消え去っている。
むしろ、親の方が、引きずってしまうものなのだ。