番外編 残り香―/あの日から動けない男の記録
——もう戻れないと分かっていたのに、
それでも止められなかった。
あの選択の、その後を書きました。
pixivで修行してました
疎かになってすみません
おかげさまでpixivでも結果が出始めたので
番外編を投稿します
是非お読みいただけたら幸いです
まだ1話からお読み頂けてない人は是非1話からお読みください
後日談:「残り香」
あの日のことを、仕事の一部だと思っていた。
少し危うい提案だったのは事実だ。
だが、あの女もまた、どこかで分かっていて踏み込んだように見えた。
だから、自分だけが悪いとは思っていない。
そう思っていた。
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彼女が会社を辞めたと聞いたときも、最初は驚かなかった。
よくあることだ。耐えきれなかっただけだろう、と。
家庭も、職場も、居場所も失ったらしいという噂も、ただの流れ話として処理した。
だが——それでも。
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時間が経つほど、妙な違和感だけが残った。
あのときの表情。
一度だけ見せた、迷いのない選択の顔。
それが頭から離れない。
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連絡は来ない。
当然だ。
こちらからも、する理由はない。
すべては終わった話だ。
そう決めているのに、ふとした瞬間に思い出す。
仕事帰りの夜道。
誰もいない会議室。
何気ない会話の間。
そこに、もう彼女はいないはずなのに。
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「捨てた側」のはずだった。
それなのに妙に静かだ。
何も問題は解決していないのに、終わってしまった空白だけが残っている。
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ある日、ふと検索履歴を消した。
意味はない。
だが、それを消した瞬間、ようやく理解した。
自分は彼女を失ったのではない。
最初から“残るものを作ってしまった”のだと。
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誰もいない部屋で、ふと考える。
あの選択は、どちらのものだったのか。
彼女の堕落か。
それとも、自分が見て見ぬふりをした選択の連鎖か。
答えは出ない。
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ただ一つだけ、確かなことがある。
彼女はもう戻らない。
そして、自分もまた——あの日のことから一歩も動けていない。
本編で描かれた崩壊の、その後。
すべてを失い、姿を消した一人の女。
そして——その選択に関わりながら、何も失っていないはずの男。
高瀬は、あの日の出来事を終わったものとして処理していた。
だが時間が経つほど、消えない違和感と“残り続ける感覚”だけが、静かに日常へと滲み出していく。
これは、壊れていった側ではなく、
「見ていた側」が止まってしまった後日談。




